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貸渋りは起きてないかも。。。。(信用格付の話) [裏づけのない経営学]

「正常先」「要注意先」「破綻懸念先」「実質破綻先」「破綻先」というお話をご存知ですか?
銀行は、お取引先をこのように分類(格付)しています
これは、金融庁の「金融検査マニュアル」にでています
「金融検査マニュアル」では「債務者区分」と言います

少し平たく説明しておきましょう
ご融資を行なう企業については、銀行は、財務内容等を見て、いわゆる格付を行ないます
その格付けに従い、融資の総額、担保の状況、金利等々を決めていきます
その格付の典型が、「正常先」「要注意先」「破綻懸念先」「実質破綻先」「破綻先」なのです

それには、各企業の
①経常損益の状況(赤字でないかどうか)
②自己資本の状況(債務超過でないかどうか)
③要債務償還年数(借金を返すのに何年かかるか)
④キャッシュフローの状況(税引き利益+減価償却費-増加運転資金-設備投資)
⑤将来性・成長性(先行き)
⑥経営者の資産の事業への投入具合(「代表者等との一体性」と言います)、預金・不動産等資産状況
⑦経営者への報酬・家賃等の支払い状況(生活費以上の所得部分を返還した場合の利益の状況)
⑧経営者(代表者)からの借入の状況
⑨技術力・経営者の資質等
等々を勘案・加味しながらこの分類(格付)が決まってきます

ちなみに
正常先   ~融資に心配のない普通の企業です
要注意先  ~業況や財務内容に課題があり、返済振りに問題があったり金利減免などの貸出金の条件変更を行なったような企業です 短期の貸出(期限一時弁済)を期限に新しい貸出で振替決済して反復したりすると、条件変更と見られることもあります
破綻懸念先~現状破綻(倒産)はしていないが、先々、破綻の可能性がある企業です 貸出金も延滞の状況にあり、最終的な回収に懸念がある先 「ひょっとしたら倒産するかもしれない」と言う状況
実質破綻先~法的・形式的な破綻の事実はないが、深刻な経営難にあり事実上破綻(倒産)している企業です  「不渡りを出したと言う噂があるが、仕事は継続している」ようなケース
破綻先   ~法的・形式的な破綻の事実がある企業です

いずれも貸出金の回収(ご返済)の度合いを示すものです
金融機関では、貸出の都度、あるいは信用格付が変更になる都度、貸倒引当金を計上します
たとえば、
「正常先」なら、一般企業の売掛金のように数%の引当金を積む
「破綻懸念先」なら、100%の引当金を積む
といった具合です

銀行としては、貸出先・貸出申込先の業況如何では、貸出金について相当額の貸倒引当金を積まなければなりません(損失の計上になります)から、業況の悪い先には貸出をしたくなくなってしまうのかも知れません
なお、担保の状況によっては貸倒引当金の引当額を減らすこともできますので、担保を銀行から求められることもあるでしょう。。。。。

なお、貸倒引当金のことを考えたら、業績・業況の悪い会社(企業)には貸出をしたくないのが銀行の本音でしょう
このあたりが、銀行は「雨の日には傘を貸さない」と言う所以かも知れません
昨今のような不況になってくると、貸し渋りと言われてしまうのもやむをえないことかも知れません

また、貸倒引当金を積むことから、その損失を補填するために、金利を引き上げたりもします

少しアバウトに書きましたので、お取引のある銀行の融資のご担当の方に正確な話はご確認ください


(参照)
ある銀行のHP等、参考資料を紹介しておきましょう
[本]融資審査
法人のお客さまへの融資にあたっては、まず、返済能力や成長性を見極めるため、キャッシュフロー分析などの財務分析をはじめ、業界の動向、技術開発力や商品等の競争優位性、経営管理能力など、総合的に評価を行ったうえで、貸出案件ごとの資金使途、返済計画などの妥当性を検証することにより、的確かつ厳正に与信判断するよう努めています
http://www.smfg.co.jp/responsibility/risk/credit_risk.html

[本]案件審査
貸出資産の質を維持するためには、日常の与信管理を通じて不良債権の新規発生を未然に防止することが極めて重要となります。
案件審査については、基本的には、個別案件ごとに担当営業部店において厳正に分析・審査を行い、営業部店長の権限を超えるものについては本部の審査部門が審査を行う態勢をとっています。審査部門においては、業種や規模・地域等の切り口で専門の審査担当部を設置しており、顧客やマーケットの特性に応じて専門的かつ迅速な審査の実施、営業部店への適切なアドバイスを行うことができる態勢を整えています。
また、不良債権の新規発生を未然に防止する観点から、特に、ダウンサイドリスクの高い低格付先に対しては、営業部店と審査担当部が一体となり与信方針を明確化するとともに、早い段階でのお取引先の健全化に向けた支援を行う運営としています。
http://www.mizuho-fg.co.jp/company/internal/r_management/creditrisk.html

[本]金融庁「金融検査マニュアル」
http://www.fsa.go.jp/manual/manualj/yokin.pdf

[本]金融マニュアル~金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕
http://www.fsa.go.jp/manual/manualj/manual_yokin/bessatu/y1-01.pdf






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