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企業トップが仕事をしたがる時のリスク (船頭が多いと舟は進まない) [企業経営の風景・裏付けのない経営学]

企業トップが自ら仕事を積極的になさるのは好ましいことです。 いや、そうしてほしいです。
ただ、創設期の小規模企業ならいざ知らず、それなりに組織化された企業などでは、企業トップや管理職が仕事をしすぎる時には注意しなければいけないことがあります。

かつて、私が若い頃の話をしましょう。
優秀だと言われる若手課長の部下として融資の仕事をしたことがあります。
私もすでに一本立ちしており、大概の融資案件は一人で捌けるレベルだったと思います。
ただ、まだ平社員です。

新しい課長が、着任してほどなく、
「今日から、融資案件についてのお取引先との詰めは、課長と課長代理でする。 君らは稟議(りんぎ)だけ書いておればよい!」と会議で言い切ったのです。

私は、聞きながら笑いをこらえるのに必死でしたが、表向きは「さすがです。 わかりました。」とか言ってしまいました。
ほどなく、1か月もしない間だったと思いますが、案の定、課長と課長代理はパンク状態です。
お取引の駆け引きもあり、金利とか担保などはこちらのいい値だけで決まるものでもありません。
また、有力お取引先には訪問も必要です。
二人だけでこなすのは不可能です。

稟議(りんぎ)書きを任された小生たち若手も、情報もなく、稟議の組み立てもできず戸惑ってしまっていました。

いつの間にか、私たち若手スタッフがお取引先と交渉し、その結果を稟議(りんぎ)にし、それを課長のチェックとか意見のやり取りをしながら案件をまとめていくというスタイルに戻ってしまいました。

民主党政権になって、「政治家が行政をやる」的に、大臣や副大臣や政務官が必死ですが、
この光景をニュースとかで見るたびに、いつかの若い頃のことを思い出してしまいます。

日本の良きお役所仕事(あるいは大組織の仕事)は、スタッフが企画書を書き、それを責任あるポストの人が決裁していくというスタイルです。
あるいは、だれか偉い人のつぶやきを部下が組み立てていくということもあります。
だれかれとなく、雑学にも詳しく、会議の時も大所高所から議論し尽くします。
チームで仕事をするという美しい姿でもあります。
OJTということで若手も、
①企画立案とか。
②案件の組み立てとか。
③決裁までのハードルの越え方とか。
を失敗しながら、叱られながら、助けてもらいながら身体で覚えていくのです。

民主党の若手政治家には有能な方が多いのも事実ですが、
①すべてを一人ではできない。
②下積みのスタッフも必要。
③責任が集中してしまい、リスクやその責任が見えなくなる。
④仕事のやり方が伝わっていかない(いわゆる属人的)。

というような光景が見えてきてしまうようです。

ふと思うのは、
①議員数が多すぎる。
②役人が何でもやり過ぎてきた反動。
というのが、霞が関にある結果なのでしょう。

今度の公務員制度改革等には、こういう点もチェックもしていかないと、日本国の行政組織が組織じゃなくなってしまうような不安が残ってしまいます。



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