「認知症事故賠償」と「個人賠償保険」(入っていますか?) [どう受け止めたらいいのか]
昨日(16.03.01)、最高裁は「2007年、愛知県大府市で起きた、『認知症の91歳の男性が徘徊中に線路に立ち入り、列車にはねられて死亡する事故』をめぐって、JR東海が、男性の家族に損害賠償を求めていた訴訟」で、男性の妻に賠償責任を認めた2審判決を破棄して、JR東海の請求を退ける逆転判決を言い渡しました。
いわゆる「認知症事故賠償訴訟」です。
この裁判では、JR東海は「列車遅延」の損害賠償を求めていたものですが、
「配偶者や家族であることだけでは、『監督義務者』にあたらず、特別な状況がなければ、監督責任を負わない」
と判示されたものです。
この事案は、「JR東海だけが直接の経済的損失を被ったこと」から、「暖かい判断」だと言われていますが、もし事故に巻き込まれた第三者がいらっしゃったらどう理解すればよかったのでしょうか?
ところで皆さんは「個人賠償保険」には入っていらっしゃいますか?
こういう時、加害者(または同居のご家族)が「個人賠償保険」に加入なさっていたら、事情も変わったかもしれません。
この「個人賠償保険」は、
〇個人の「住宅の管理」または「日常生活」に起因して、国内外(注)で発生した「法律上の損害賠償責任」を負担することによって被る損害を補償する保険。
〇単独で契約することもできますが、「火災保険」や「傷害保険」、「自動車保険」などの特約として契約する場合が多い。
〇保険期間1年。(更新可)
〇保険金額1億円に設定して契約しても、年間保険料の例は数千円程度。
〇個人賠償責任保険の被保険者は「生計を共にする同居の親族」。
・・・・世帯主が契約すれば子供が起こした事故も補償されます。
というのが特長です。
学者の中には「社会全体で負担を負うような仕組みを考えるべき」とおっしゃる方もありますが、制度が整う前に、この「個人賠償保険」に入ることも考えてみる必要があります。
親御さんと離れて暮らしていらっしゃる方は、親御さん向けにこの保険をプレゼントなさったらいかがでしょうか!
なお、日本損害保険協会のHP(※)によれば、
補償の対象となる事故例は、
1.買い物中に陳列商品を落とし破損させた。
2.飼い犬が他人を噛んでケガをさせた。
3.子供が駐車場に停めてあった他人の車をキズつけた。
4.自転車で走行中に歩行者とぶつかり後遺障害を負わせた。
5.マンションの自宅の風呂場からの水漏れにより、階下の戸室の家財に損害を与えてしまった。
6.ガス爆発によって、隣の建物を損壊させた。
7.ベランダの鉢植えが落下して歩行者の頭に当たり死亡させた。
等々、他人の「身体」や「財物」に損害を与えた場合が対象となります。
※http://soudanguide.sonpo.or.jp/body/q093.html
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