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「国家の課題」解決と「白書」~例えば「高齢運転者の交通事故の危険」 [どう受け止めたらいいのか]

また、高齢者の運転による交通事故がニュースになってしまいました。

事故を報じる地元の新聞によると、
「気付いたら事故を起こしていた」。前橋市内で9日朝、登校途中だった自転車の女子高校生2人が同市下細井町、無職、〇〇容疑者(85)の運転する車にはねられ、重体となった事故。

〇〇容疑者の親族は「運転しないように普段から言っていた。申し訳ない」と語り、女子高生2人の親族は言葉を失った。

(2018.1.10 上毛新聞)


ところで、「高齢運転者に起因する課題」(「体調変化」「免許返納」問題等)はいつごろから指摘されるようになったのでしょうか?

死亡交通事故を起こした高齢の運転者の割合も、52年3.6%、53年3.7%から57年5.0%、58年5.5%と増加している。これは高齢の運転免許保有者の増加も反映しているが、高齢事故運転者の増加は、慰謝料の支払い能力の面でも被害者、加害者双方にとって大きな問題となっている。」(経済企画庁「国民生活白書」(昭和60年度))
※昭和60年:1985年

私の知るところではこの「国民生活白書」での取り上げが公式には初めてだったと思います


当時の経済企画庁の執筆チームの知人によれば、

局内、庁内の「合議」(あいぎ)はスルスルっと通過したが、「警察庁」との合議で文章は大幅に削られこういう表現になってしまったとか。

原文には「今から対策を講じなければいけない」というような趣旨のことが書いてあったようですが「警察庁」の担当者をして認めたくなかったということもあったようです
当時は「認知症」も一般化した表現としては使われていませんでしたから、この指摘が早すぎたということもいえるかもしれません。


ところで皆さんは「白書」というのをご存じでしょうか?

実は代表的な「政府刊行物」の一つで、各省庁には一つや二つの「白書」があるようです。

もはや『戦後』ではない。」で有名な「経済白書」は正式には「経済年次報告」と呼ばれていましたが、「経済企画庁」の「内閣府」への統合とともに「経済財政白書」という名前に変わっています。


もはや「戦後」ではない。我々はいまや異なった事態に当面しようとしている。回復を通じての成長は終わった。今後の成長は近代化によって支えられる。そして近代化の進歩も速やかにしてかつ安定的な経済の成長によって初めて可能となるのである。
(「経済白書」(昭和31年版))
http://www5.cao.go.jp/keizai3/keizaiwp/wp-je56/wp-je56-010501.html
※昭和31年:1956年

この「白書」、
・各省庁には、「〇〇調査課」というような部門がありそこで原案を作り、「局」内で揉まれ、「省庁」各局に「合議」され、さらに各省庁に「合議」がなされ閣議に報告又は了解され公表されるようです。
「合議」の結果、各省庁の考え方や「省益」とのすり合わせがなされ、可なら原案が残り、不可なら「修正」か「削除」が繰り返されながら作りこまれていくようです。 ・そして完成したものが「事務次官会議」(当時)にかけられ、閣議で最終的な了解を得たうえで国民に公表されていくというプロセスを取っていたものです。

このように全省庁を横断しながら、国家運営や国民生活の課題が浮き彫りになり、それが時の内閣の政策となり実行の一助となっていたようです。

そのため、マスコミも「白書」が公開されると競って話題にし、また政治家諸氏も国会での質問ネタにご愛用されたようです。

「防衛白書」は自衛官の、「警察白書」は警察官の皆さんの昇進試験の出題元になっているとも聞いたことがあります。


今は「政治主導」とか言い政治家によるアドバルーン政治全盛の状況です。
もはやマスコミでもこういう課題の発掘をできる人は少ない」かもしれません。

今一度、こういう「国家行政の課題を横断的に考える」ことも必要ではないかと思う次第です。

冒頭の「国民生活白書」の話題を聞かないなと思っていたらどうやら「平成20年」をもって廃止されているようです。


そんなことを考えていると「もはや『平成』ではない」という声がテレビから聞こえてきました。

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