銀行は「成功体験の塊」などではない [裏づけのない経営学]
「我々のグループは『成功体験の塊』だ。変われない逆に昔が災いして」。
これはあるメガバンクグループの社長が社員を前にしておっしゃった言葉のようです。
(出典:テレビ東京:WBS(2019.11.13))
ベンチャー企業のトップとのパネルデスカッションでおっしゃったものです。
彼は続けて、
「既存の枠組やルールでしか物事が見えないとそうなる」
「理屈を自分で考えて、それをもとに新しいものに挑戦しなければいけない」
「彼らがいかにパッションを持って仕事をしているか、新しく(事業を)作ろうと意欲に燃えているか見習わないといけない」
と。
テレビのニュース番組が伝える部分での発言ですから全体像はよくわかりませんが、
少し笑ってしまうのは、
トップ自らが「変わらなければいけない」とおっしゃる時は「あなたがいなくならないと変われないですよ」と言いたくなってしまいます。
組織というのは不思議なもので、組織の末端では「こんなのでいいのか?」と思う人は多いものです。
ただ「生活」や「組織のルール」などを考えるとなかなか「変わらなければいけない」と言い出しにくいものです。
つまり、トップが「変わろう」という時には「現状の否定」を丁寧にしない限り「変わる理由が見つからない」からです。
「現状の否定」をしないトップに「変われ」と言われても「なぜ変わらなければいけないのですか?」とか「どこを変えるのですか?」の素朴な疑問がわいてしまいます。
「パッションを持て」というのも同様です。
「成功」を求める人たちは皆さん情熱的です。「熱く語り」「自らマメに動く」ということがセットです。
私が経験したことで言うと、持続していく企業の経営者の多くは「このままではダメだ」「こんなやり方ではいつまでも続かない」と現状の検証や否定から必ず次のステップを目指されます。
その時に大切なのは、
●今までの成功体験の基本は何だったのか?
●基本は変わらない
ということです。
たとえば、
●マーケットのニーズに受け入れられなくなったものはうまくいかない
●「発想の転換」ではなく「基本の応用」である
ということではないかと思います。
銀行の成功体験の最たるものは、
●規模メリットの追及
●薄利の中での商売
●抜群の信用力
●慎重な取り組み
●レベルの高い金太郎飴のような人材育成
だったはずです。
さてさて「どこをどのように変えて行かれる」のか楽しみになってきました。
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