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「倒産した企業の経営者」のこと [裏づけのない経営学]


「新型コロナに感染する前に経営がおかしくなって自殺者が出る」と言ったような話をなさるコメンテーターの方がいらっしゃるようです。

「新型コロナの蔓延」や「オリンピックの延期」で「ご商売がうまくいかない」「経営が危うい」などとテレビやラジオでおっしゃるコメンテーターもどきのタレントさんが少なからず目につきます


そういう皆さんに聞いてみたいのは「そんな人が今までいましたか?」ということ。
少々乱暴な議論のような気がするからです。


私のそれなりに長い銀行員生活の中で「倒産した企業の経営者が自殺した」という事例は1度しかありませんでした。
それも私が直接遭遇したわけでもなく、後始末を担当した時に「実は。。。。」ということで知ったのです。
負債金額は「億円」の桁がもう一つ多い額でした。
企業グループ十数社が相互に保証していて何社かは倒産。数社が残りました。
親企業の社長さんは家庭の事情もありお子さんを連れて車ごと海に飛び込んだという風に聞いています。


※当時、本部の回収部門からは「生命保険金を差し押さえろ」という指示があったものの「さすがにそれはすべきではない」という現場の反対で「貸出金償却」と「残った保証人の皆さんの限定的保証履行」で対応した事案でした。


私が知る限りで申し上げると、「倒産した企業の経営者」は、
●「夜逃げ」(ほとぼりが冷めるまで)
●「法定整理申立て」で「弁護士に任せているから」と知らんぷり
というのがかなり多かったように思います。


私が時々「再建見込みのない企業は倒産・廃業すべき」と言った趣旨の話をするのは、
企業の退場には潮時がある
従業員さんのためにはじり貧になる前に卒業したほうがいい
「倒産」は一時的な事情ではなく「構造的な要因」
ということがあるからです。


特に従業員さんのためには、早めに見切りをつけないと、
遅延した給料は払われないままになってしまう
退職金ももらえない
次の転職先を早く探したほうが得策
ということがあるからです。

※倒産企業というのは「経営者」の問題に光が当たりがちですが、「従業員さんも長年そういう空気感で働いてきた」ということが言えます。その結果、倒産企業にいた方はなかなか次の就職が決まらないということにもなってしまいます。


倒産寸前の企業が上場するほどまでに復活したという事例もありますが、そういう企業には必ず「スーパー知恵者、汗かきっ子
が存在します。


私が知る限りの現場感で申し上げると「軽々と自殺などと言う話はするな」ということです。


実はあの「〇〇証券」という日本を代表する証券会社の倒産の現場も横から見ていました。
優秀な人ほど「企業の状態をよく知っており」早々と転職していった人が多かった。
●この証券会社の人事の方に「わが社でも転職を受け入れる用意がある」と伝えたにも関わらず「無しのつぶて」になってしまいました。

私が知る限りでは、
●石油ショック
●プラザ合意
●バブル崩壊
●リーマンショック
等々、これまでにも企業経営にはいろいろな大きな障害があったはずです。
多くの企業がそういう壁を乗り越えてきたのです。


企業経営を甘く見ないでほしい」ということと「軽々と人命を語ってほしくない」と今回のコロナショックについて思わずにはいられません。


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