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「消費盛り上げ論者」への違和感 [どう受け止めたらいいのか]

昔々、「100歳を超えている金さん銀さんはテレビ出演のギャラを『老後の備え』のために預金した」という話が金融業界の話題にありました。


先日のこと、ラジオで「消費盛り上げ」論者のエコノミスト二人の対談を聞いていて「どこか違う」と思ってしまいました。
このお二人は、どちらかと言えば「安倍首相シンパ」で「消費増税反対派」です。

お二人の論調は、

〇景気回復は未達

〇こういう時期に消費税増税はすべきでない

〇国民は貯蓄よりも消費を選ぶべき

〇「老後の不安」ということで貯蓄する人が多いが社会保障も整っており貯蓄の必要はない

〇消費税増税は「消費」の足かせになる

〇積極的な財政出動が必要

というような趣旨だったと思います。


このお二人に申し上げたいのは、

1.「お二人の所得はいくらで一年間の預貯金の増減額はいくらですか?」

と聞いてみたくなります。

「総所得」-「預貯金増減」+「借金の増減」=「消費(支出)」 (ただし税金・社会保険料を含む)

と私は常々考えていますが、まずこのお二人の所得はおそらく数千万はあるのではないでしょうか?
所得が高い人が「庶民に消費を促しても限界」はあります。


2.所得が少々増減しても「生活費」(基礎的支出)は大きくは変わらない

「光熱費」(電気・ガス・水道・灯油)「住宅費」(家賃・住宅ローン・修繕費)が典型的ですが生活ぶりを大きく変えない限りこういった基礎的生活経費はなかなか変わりません(減りません)。

リタイアすると家にいることが増え、かえって基礎的な「生活費」が増えることもあります。


3.一人一人の税金は「公的支出」(財政出動)と表裏をなしている

「消費税増税」を止めたところで、「財政出動」を行う限りは、「どこからとるか?」「誰からとるか?」の問題になってしまいます。
AさんBさんの税金が減ったところで、財政出動が同じ又は増える限りは国民全体の納税額は増えこそすれ減らず、まだ「消費税」のほうが公平感があります。
また、そもそも所得の低い人から見れば、消費税の多寡くらいでは大きく消費態度は変えられないというのも実情です。

もし「固定資産税」や「相続税」が上がるのなら、さらに「消費抑制」者(貯蓄者)が増えるか「節税者」が増える恐れもあります。
※「たばこ増税」をすると喫煙者が減るようなものです。「健康のため喫煙に減らす」効果は相応にあると思います。


4.貯蓄は「老後の備え」ではない

貯蓄動機についてアンケートを取ると、「老後の備え」「学費」「住宅取得」「余暇」「旅行」等々ある意味漫然としています。
なぜならそれぞれの目的のために「預金通帳」を別々にしている人はほとんどいないということでもお分かりになるはずです。強いて言えば「学資保険」「葬儀保険」くらいしか目的的な貯蓄は見つかりません。
「お金を貯める」「自己資金を蓄える」というのは多くの日本人が育んできた知恵であり美学であるのかもしれません。


5.「断捨離」「終活」「エコ」には「モノはいらない」

生活水準の上昇は多くの人たちに「ほしいものがない」「今のままでも困らない」現象を生みました。
また、「無駄遣いをしない」「無駄なものを持たない」という意識はますます高まりつつあります。
特に「捨てる」時の罪悪感は相応に高いものがあるのではないでしょうか?

なお、「企業経営」には絶えず「経費節減」が合言葉です。


6.「砂の上に水を撒く」ような財政出動が続く限り「消費」には意欲はわかない

「財政出動」と言いつつ、「地方創生」や「ふるさと納税」にみられるように、そもそも「自らリスクを取る」あるいは「そもそも『民』でやる」性格のものに税金が無造作に投入される姿が目立つと「財政出動」への信頼感は薄れてしまいます。

「地方創生」や「ふるさと納税」については、ある意味「起業」の成功・自立の妨げになってしまいます。
平たく言えば「選挙目当てのやりすぎ」です。


7.「ユニクロの出現」「中国の台頭」により「安くていいもの」がたくさんある

以前と比べ、低価格で品質の良いものが増えました。もし値上がりしたら「買わない」だけのことです。
心配なのは「光熱費」「食費」「医療・介護費」などの「必需財」「必需支出」の価格だけが上昇基調にあることです。これは低所得者には利いて来ます。


8.「景気がよくなること」「税金が安いこと」に不満を言う人はいない

他方で、原発や環境問題対応の「エネルギー政策」も重要です。
かつて「世界恐慌」の時にアメリカのフーバー大統領はダムをたくさん作りました。
日本では「水力発電」回帰のような声は聞かれません。なぜ「水力発電がダメなのか?」という理由説明も含めてこういうことも不思議です。


マスコミ的には「バブル期回帰」を懐かしむかのような伝え方が増えてきましたが、おそらくマスコミ的なのでしょう。
「バブル崩壊」「リーマンショック」を経験した日本には「行き過ぎ」チェックが働くようになりました。
※クリスマスの昨夜(25日)の東京の街にはイルミネーションが相応に賑やかでした。
しかし、かつてのような賑わいはありませんでした。

また、日本経済を評価する時には「アメリカの景気の影響も大きい」ということも踏まえてかなければいけません。
日本経済躍進の原動力となった『モノづくり』の位置が中国や新興諸国にとって代わられようとする現実もよく見ておかないといけません。

おそらくプロの論者には「そんなことは百も承知」とおっしゃるかもしれませんが、「財政出動」をせざるを得ないのなら「国家100年の大計」に叶うものにしていただきたいのです。

「子育て」とか「教育費」援助が「公的助成」の大きなテーマになっている昨今ですが、「どこまで国が援助するのか?」ということもチェックする必要があります。


9.今の国の政策で評価したいのは「国土強靭化」というのがあります

高度成長期に作られたインフラも老朽化が目立ちます。「役に立つもの」「有意義なもの」「必要なもの」に税金が使われるのは大賛成です。

※「豊洲移転延期」を税金の無駄遣いだと指摘する方もいらっしゃいますが、「豊洲の将来のための支出」とみるべきでしょう。「無駄遣い」を指摘するのなら「なぜあんなところにあんな風に建設してしまったのか?」を問うべきです。
後から決まった「東京オリンピック」に影響があるという指摘もありますが、なぜこんなに「性急にオリンピック誘致をしてしまった」のでしょう?」

ひょっとすると「家電エコポイント」のような政策が足元の景気には必要かもしれません。
「東京オリンピック」を前にテレビの買い替えも進むかもしれません。
老後を踏まえた「快適な生活」の準備ができるかもしれません。


10.とかく「政治が政局として語られる」ことが多いようですが、政治は「国家百年の計」で行われるべき

政治家の役目は、

〇必要性

〇優先性

〇適性性

の提案そしてチェックに外ならないのではないでしょうか?


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