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「経済効果12億円」の受け止め方 [裏づけのない経営学]


「10連休」とか「大きな行事」(オリンピックやお祭りなど)の時に必ずのように話題になるのが「経済効果」。


机上での「積上げ残」としてシミレーションされるのは自由ですが、それがご商売に行かされるかどうかと言えば少し疑問があります。

ご商売をなさっている方ならお分かりになると思いますが、

「経済効果12億円」

たとえば、
A:一時だけ12億円の効果で年間で見れば12億円
~@12億円/月× 1月
B:毎月1億円の効果で年間で見れば12億円
~@ 1億円/月×12月
ならA、Bどちらを選ぶか?

と聞かれたらどちらがいいでしょうか?
私が今までに聞いた限りではBの毎月1億円を選ぶ方のほうが圧倒的に多いようです。


旅館や観光ホテルを例にとりましょう。
行政主導のイベントでそのイベントが開催された月だけ12億円の売り上げがあったとします。

●いわゆる仲居さんさんをはじめとした「従業員さんが集中的に必要」になってきます
・この地域では「人手」が引っ張りだこになってしまいます。
・当然のことながら雇用単価(人件費)が急騰してしまいます。
・ただしこの時期だけなので正社員にはできません。
・人手不足の結果、熟練度の低い人まで雇わざるを得ません。
・おそらく「質感の低い」ビジネスが跋扈してしまいます。

●「働く人」の側から見れば、一時的な臨時雇いになるだけです
・この時だけ稼いであとは自分の好きなことをしたいという方のほうが少ないはずです。
・社会保険や福利厚生が充実した正社員になれるほうがいいはずです。
・イベントの後はクビになるおそれがあります。
・「不安定雇用はまっぴら」という人のほうが多いはずです。

●「設備投資」が過大になりがちです。
・一月12億円のキャパをこなす設備投資が必要となってしまいます。
・他の月の利用度(回転率)は低いのに、その月だけのための設備投資です。
~1個でいいものを12個買わざるを得ないようなものです。「大は小を兼ねる」などと笑っていられません。

等々、かつてのように右肩上がりの経済が続き、人手も余っている時代ならまだしも、
「人手不足」「低成長」時代にはこういった「瞬間経済」は机上の計算ほどには経済効果ないはずです。

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