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「コンビニ」問題のこと [どう受け止めたらいいのか]

社会インフラとして欠かせないものになった「コンビニ」。
「働き方改革」「人手不足」と言った時代キーワードの一環でそのシステムに「これでいいのか?」が起きているようです。

たとえば、

24時間営業
~かの「セブンイレブン」の出発点は午前7時から午後11時までオープンといううたい文句だったような。

年中無休
~「働き方改革」の矢面てに立たされるようなシステムであるのは事実です。
「多様な働き方」を好む方々に受け入れられた仕組みが、「ブラック労働」の典型例のような扱いを受けています。


「だって、こんな時間に、こんなさびしい所で、二人で店を運営してるんだぜ」
どこの店も開いてない中、コンビニエンス(便利)なんだぜ」
銃社会のこの国ではリスクも高いよ」
これは、昭和の時代、買い物のために立ち寄ったアメリカのある町の郊外にあるセブンイレブンの店舗で店員さんが話していた言葉です。
「ここ少し高くない?」と私が聞いた時の彼らの回答でした。
「なるほど~」です。


また、「かけ出し」銀行員の頃、コンビニエンスストアの出店資金の融資を担当したことがありますが、その時に感じたのは、

コンビニは小売店ではなく「工場」のように在庫管理(商品管理)がすべて。
~棚から商品が離れた瞬間に「売上」が計上されるようなもの
・「万引き」が想定より多い。
・お店がサービスで「値引」いたりただで「あげた」りしても本部には定価で売り上げが計上されるため差額はオーナーの損失になる。

店主は「警察官」経験者が向いている。
~とにかく「ルール」を守らない人は赤字が出てしまいます。
「ルールに実直である」タイプの方が向いているのです。「お人好し」とか「サービス精神が旺盛」な方は儲かりません。

深夜はオーナーが店番したほうがよい。
~客も少なく「お金の管理」の不安が起きやすいからです。
「キャッシュレス」をコンビニが指向するのもこういう「資金管理をイージーにする」という側面もあります。

後背地(店の周囲)の若い人口がどのくらいいるのかが立地の最低条件だった。
~昭和50年代は「20代」の方がお客様のメインでした。
今は昭和95年ですから、当時25歳の方も70歳くらいにおなりです。
「自動車運転免許」同様、「団塊の世代」の成長とともに利用人口が増えていき、結果、主役であった彼らもずいぶん高齢になられました。
当時は若い人しか行かなかったコンビニですが、今では各年齢層に便利なお店になっているのもこういう事情があるからでしょう。
幅広い年齢層が顧客になったことで、取扱い商品群はますますコンビニエンスになってきたのです。

「オーナーフィ(経営者の取り分)」「チェーンのロイヤリティ(本部の取り分)」が明確に決まっているため、「人件費率」「ロス率」「万引き率」などが厳格に決まっている。
~こういうルールが理解できない人はコンビニオーナー(経営)には向いていません。

「土地手当」までを借入金で用意していたら、採算はかなりきつい。
~なお、出勤方向に向かって「どちら側にあるとよく売れるのか」まで出店時は考慮しないと売上に大きな影響を与えます。

等々。


今回の「コンビニ問題」の具体例を見ていると、

若くしてコンビニオーナーになった方も「年取ってしまった」ため、こういうルールについていけなくなった。

日本の若者が「低賃金では働かなくなった」現在、「人件費率」をどう見ているのかという議論も必要。

という側面もあるようです。


「自分の店の近所に同じネームのコンビニができた」という不平を漏らされるオーナーの声がよくありますが、これは「オーナーさんの誤解」もあります。

つまり、
好立地の場所を「自陣営」で押さえておかないと他ネームのコンビニが進出してきてしまい、結果的に売り上げ減につながる。
●「商品配送」のことを考えると「点」立地ではなく「線」あるいは「面」立地により合理的な配送を考えないといけない。
という側面を踏まえておく必要があります。

配送コスト」を考えると、
・車の燃料費
・配送の人件費
等の合理性を考えなければいけません。


「だからやむをえない」というわけでもありません。
こういった「コンビニ事情」を踏まえて「コンビニ」を考えてみることも必要です。

1.そもそもコンビニが多すぎる
~だから過当競争になっている。
・「出店規制」をするべき時期になっている。

2.「人件費率」を見直さないと人手不足は解消しない
~「バイト」が当然という「人件費配分」なのです。
人件費率アップ⇒更なる合理化が当然求められてきます。
・キャッシュレス以外は対応しない
~チャージの自動化も必須
・開店時間の見直し(店舗立地線上の輪番開店や7~23時程度の開店でいいお店の峻別)

3.「値上げ」場合によっては「深夜料金」の検討
~売値が一緒で過剰サービスをしている時代は終わったはず。

4.調理工場の生産ルール、配送ルールの見直し
~(おにぎり、サンドイッチが典型の)調理工場のタイムテーブルや配送システムは24時間営業を前提に構築されているはず。

5.オーナーの定年制設置
~今回の混乱には、システマティックなコンビニ運営にオーナーの私情が混在しているところに問題を複雑化している部分があるようです。
「プレーイングマネジャー」のオーナーに定年を設けるか「資本と経営の分離」をしない限りこう言う私的な問題がついて回る可能性があります。

6.高齢者の店員さん活用
~昨夏東北を旅した時、「従業員さんはおばあちゃんばかり」のお店で買い物をしました。
とてもスピーディでした。
「高齢でも熟練者・習熟者はたくさん存在する」という実情を軽視してはいけません。
これからの「年寄り」はパソコンもスマホもキャッシュレスも使えるのですから。


コンビニを巡る諸問題は「社会インフラ」というスタンスで考えていく必要があります
「バスや鉄道」「タクシー」「消防や救急」のようなお仕事のあり方と見比べながらあるべき方向性や対策を議論すべきではないでしょうか!


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