皆さんが、お金を貸すときどんなことを考えますか?
実は、銀行員と同じことをお考えになっていらっしゃるはずです

「わかった、わかった」とか「よっしゃ、よっしゃ」と貸す人は少ないと思います
「出世払い」とか、かっこいいことを言ったところで、
「やったも同然」と腹をくくっていらっしゃるのではないでしょうか

ところで、今まで、
お金を貸す時のキーワード(融資のポイント)は
①貸したお金を返してもらえるか
②貸したお金が有効に使われるのか
③企業が持つ経営資源、経営資産はどうか
④先行きはどうか
⑤ディスクローズは行なわれているか
⑥企業としての売却価値(商品価値)はあるのか
と言うことだと述べてきました

①~④は、すでに詳述しましたから、今回は、「ディスクローズ」について話してみましょう
・どこの誰だかわからない人にお金を貸すと言うことは勇気の要ることです
あるいは
・隠し事をされていると貸した後で倒産したなどということもあります

たとえは適切ではないかも知れませんが、重大な病気のある人が生命保険に入った直後に
お亡くなりになるようなものです
生命保険は、プロのお医者さんが診察した後で加入しますが、
融資は、銀行員自らが診断しなければいけません
そういう意味では、銀行員は「プロ」ですから、弱音は吐けませんが。。。。

結婚したら、配偶者(ご主人や奥さん)に、いっぱい借金があったことがわかった
などと言うことも時々あるかもしれませんね

銀行からお金を借りる時や企業を大きくしようと思うのならデスクローズ=透明な経営は欠かせません
よく、銀行員と話をすると興信所のようだと言われてしまうこともありますが、調査の一環なのです
医者に見てもらう時も、お医者さんが代わるたびに同じ事を聞かれるはずです
病気でも保険に入れます
それと同じように、現在、財務内容とか経営振りに課題があったとしても
病状や回復見込み(先行き)や処方箋が明確であったりすれば、
体力に合わせた無理のない融資はできるものです
だからこそ、ありのままをディスクローズ(明らかに)することが必要です
隠して隠して粉飾してもあまりいいことはありません

担当が替わったり、時がたてば、やはり銀行員も同じような問診をし、レントゲンや検査をしないといけません
財務諸表(決算書や試算表)をもらって、コンピューターにかけて分析をします
コンピューターは与えられた資料やインプットされたデータからしか分析できませんから
ウソの決算書であれば答えは間違ってしまいます
多くの場合、今までの入力データから、トレンドや整合性をチェックしてくれますが
ご新規の場合はなかなか見つけにくいこともあります

今、世の中は「貸し渋り」と言われていますが
実際には、業績のいい企業には 、銀行員が日参し、「要らない(かも知れない)お金」を借りてもらおうと必死です
また、金利も値引き(優遇)してセールスします

こんな状況ですから、調査もシツコクできません (嫌われてしまいます)

しかし、いい(こういう点がしっかりしていて、是々非々で対応してくれる)銀行員とお付き合いされることをお奨めします
身の丈にあった、体力にあった、成長力にあった借入をお奨めいたします

こんな話があります
昔々、粉飾していた企業がありました
取引銀行を三つのグループに分けたうえで
決算書、銀行取引明細、担保明細を三つに分けて
それぞれのグループ毎に、別々のものを提出していたようです

あるとき、とうとう辻褄が会わなくなり、ある銀行から融資を受けられなくなり
ついには倒産してしまうのですが、
その時、その会社の経理部長は
「ほっとしました」
とおっしゃったそうです

ps.参考までに、東証の「適時開示情報ルール」を貼り付けておきます
http://www.tse.or.jp/rules/td/yousei.html
上場企業に求められるのはすごくたくさんありますね
「適時開示が求められる会社情報は、有価証券の投資判断に重要な影響を与える会社の業務、運営又は業績等に関する情報」のようです