先日、ある方からお電話を頂きました

彼の知り合いが経営する企業が、ある地方にある当行支店に融資を申し込んだところ、支店の担当が調査までしてくれたが、結局融資は断られた とのことのようです

彼によれば、この企業について
①それなりに利益も出ている
②経営者は、その地方ではそれなりの有力者
③資産もあり、担保も出せると思う

そこで、小生宛の問い合わせとなったようなのです
その質問は
1.同じ銀行の別の支店に申し込むことで何とかならないか
2.本部を通じて何とかしてもらえないか

とのことです

小生は、すかさず
1.担当支店が調査の上謝絶した案件であり、結論は覆らない

2.個々の申し込みの状況は、コンピューターに登録されており、
①別の支店に申し込んでも取り扱いは同じ (新たな受付はしない)
②本部に懇請しても、組織で対応したものであり、同様に覆ることはない
③個人の立場で、意見を差し挟む立場にない

3.そんなにいい企業なら、他の銀行に申し込んでみるとよい

旨、ご回答させていただきました

この手の話は、聞いたそばから、あまり芳しくない案件であると想像がつきます

電話をかけてきた方は、X県にお住まいで、当該企業は、遠く離れたY県の企業です
ゆかりのない地域の方が間に入ると言うのは、何か特別な事情があることが多いのです

そんな話をしていると、彼から
実は

1.さる政治家にも相談したが、無理だと言われた

2.従来からお取引をしていた地元の銀行からの借入金は○○債権回収というところの取り扱いになっている
・・・・・今までお付き合いのあった銀行は、新しい貸出をする予定はなく見放していることがわかります

既に貸出債権を回収専門の会社に売却しています

3.ある資産について、競売の申立がなされている(係争中である)
おそらく銀行の返済が滞っており、競売処分が進んでいる様子

4.定款の中に法規制の厳しい事業目的が記載されている 現在は、その事業は休業中である

というような実情も聞いてしまいました

こういう状態の企業はまず銀行では融資はしてくれません
「利益は出ている」との言葉でしたが、怪しいものです
実質「死に体」です

「末期がんの患者さんを治してくれ!」と頼まれるようなものです
手術も、輸血も、薬の投与も効き目がなさそうです

銀行がお医者さんと違うのは、こんな時には痛み止めの注射を打つようなことはしません

世の中の人が、「貸し渋り」とおっしゃるような時は、こういうようなケースのことも多々あります

みなさんは、健康管理のため、普段から
①運動をする
②定期健康診断を受ける
③健康相談をする
④処方をしてもらう
等々、自分のお身体のことには、丁寧に対応されるようになりました

企業の寿命も無限ではありません

業績が順調なときから
①定期的に銀行に相談したり
②事業内容を診断してもらったり
③輸血や、薬を投与してもらったり
などと、上手にお付き合いされるのが得策だと思います

「俺は元気だ!」と言う人ほど、小さな風邪でもこじらせてしまいがちなものです

そうそう、この電話の彼のように、金融の話の間に入るタイプの人のご紹介の話は、銀行員が最も嫌う(警戒する)お話であることを付言しておきます