ひょっとしたら、都会の電車通勤の方しか思い当たらない話かしれません。

電車やバスの中には吊皮(つり革)があります。
今朝の満員電車の中であらためて思ったのは、
つり革は、「窓側を向いて立つ人のため仕様」になっているんだなぁと。。。。


そこで、わが愛読書「地下鉄-ただ今モグラ族1000万-」(毎日新聞 社会部・編 コーキ出版)の該当部分を紹介しましょう。

「つり手もときには凶器」と題した項目です(初版 P143~144)

バネ式もある。丸輪もある。おむすび型もある。営団地下鉄の吊り手。
地下鉄らしいのはバネ式だ。使わないときは、上にハネ上がる。どれも同じ角度で制止するので見た目にもきれい。車内が広く感じられる。正式には「リコ式吊り手」という。昭和二年の地下鉄開業時、アメリカのリコ社から輸入、そのざん新さは、乗客の評判になり、地下鉄名物となった。

(そういえば、そんなつり革もあったかもしれない)
ところが、地下鉄の利用客が増えるにつれ、評判はガタ落ちとなった。営団に、いろいろな苦情が持ち込まれた。
「ラッシュ時、ほかの乗客が放した、あのバネ式が後頭部に当たってコブができた」「横に動かないんで、発車、停車、急ブレーキをかけた時、体が不自然によじれて痛い-。」“コブ騒動”で裁判ざたになったことさえある。
営団内部からも「バネは折れるし、直すのに手間がかかる。」

と言うことで、新たなつり輪が登場したようです。
42年、新造車両にユリア樹脂の吊り輪が登場した。「握る部分が細く、握りにくい」「なぜか疲れる」これまたあまり評判がよくなかった

(ユリア樹脂の吊り革と言われてもイメージがわきませんが。。。。)
当時、営団車両・運転担当理事だった石原氏が「デパートの電気売り場に行ってアイロンの握りを握ってこい」と、車両部設計課に命じた。握りやすい、疲れない“地下鉄名物の第二の吊り手”をつくれ、と言うのだった

「アイロンの握り、確かにあの太さが一番握りやすかった。(略)」

この結果-まん丸の吊り輪は握りにくい。むしろ窓に向かって立った乗客が、目の高さあたりで吊り手を握り、手の甲が進行方向か後部方向に向くと、余り疲れない。こうして新型は、おむすび型とし、握る部分を窓に直角に付けた。樹脂の中でも強く、またつくりやすいポリカーボネート製。


昨日の朝も電車が遅れました
何でも、
①ドアに物が挟まった
②前の電車で急病人が出た
③「ダイヤ乱れ」(以前は聞いたことがなかった言葉です)
と言うことらしいのです。

満員の電車の中で、この吊り革のことを考えてしまいました
携帯に夢中の若い女性は、「吊り革の哲学なんか知るものか!」と言う立ち位置です。
ですから、彼女のまわりの空間がいびつで立ちにくくなっています。

オレンジシート付近の吊り革には「携帯電話OFF」的なマナー標語が書いてありますが、女性の多くには見えないようです。
吊り手の輪っかの位置は、目の高さよりも上なのですから。。。。

あらためて、この「地下鉄」という本を読んでいてハッとしました。
①この文体はいったい何なんだろうか・・・妙に句読点が多い。
②現在の携帯電話や自動車にも使われている斬新素材のポリカーボネートが既にこの頃から使われていたのだ。
③「吊り革」「吊り手」「吊り輪」・・・・・いったいどの呼び名が正しいのか。
などと。。。。。

読むほどに、昔の人たちの「理にかなった工夫やアイディア」が伝わってきます

TVゲームや音楽プレーヤーや携帯電話に夢中な人たちにはこの思いは伝わらないのでしょうね。


電車に痴漢防止用のTVカメラがまた設置されるらしいようです
おそらくTVカメラの役目は、
①痴漢防止の抑止力
②犯人特定
に使われることでしょう。

小生のように、「誰が触ったかわからないので汚いかも!」などと不安な気持ちで、吊り革のあるべき姿に思いをよせていれば、「痴漢」に間違われることもなかろうに。。。。。。と思う次第です

カメラを導入する前に、雇用対策の意味からも、車掌さんや駅員さんを増やしたらいかがでしょうか。。。
「痴漢被害にあっている方を見かけたら届けてください」などと言うアナウンスがなされていますが、身動きできない車内でいったい誰に言えと言うのか!と言いたくなるのも小生だけでしょうか。。。。。


※11年2月25日(金)23時47分 撮影

黄色線の外側にはラッシュ並みに人がいっぱいでした。
なお、この電車のドアに乗客が挟まれてしまいあわてて車掌さんが飛んできてドアを開け閉めしました。