SSブログ

「統計」の好き勝手利用 [どう受け止めたらいいのか]

数字で語るとなんとなく信憑性が高まります。

先日のNHKスペシャル「“中流危機”を越えて」がそうでした。
番組の初めのほうで、1994年と2019年の「全世帯の所得分布」を対比させていました。
その分析では、
1994年 全世帯の所得中央値は505万円
2019年 全世帯の所得中央値は374万円
というもので、25年の間に所得中央値が131万円も減少したというセンセーショナルなものでした。


ここで注意しなければいけないのは、
1.この25年で「少子・高齢・長寿化」が進展したこと
2.結果、高齢者(年金生活者)世帯が増えていること
3.「全世帯」にはこういう「高齢者(年金生活者)世帯」が多数含まれていること
が想像できます。

こういう統計数字を使うときには、
1.「全世帯」ではなく「勤労者世帯」のみの数字で比較すること
2.年齢階級(年齢別)で比較すること
3.各年代でサンプル数を同数にすること
で比較しないと「各世代の経年変化」が色濃く反映されてしまいます。

また「所得」を論じるなら「貯蓄」も合わせて論じる必要があります。


NHKは「中流危機」という現象をことさら主張したかったのでしょうが、「統計のベースが同じなのか?」という疑問が生まれてしまいます。


結論としては「所得は減っている」のでしょうが、
①単身世帯の増加
②非正規雇用の増加
③高齢者世帯(年金受給世帯)の増加
等の変化も見逃せません。

統計数字やアンケート結果をいじる時には、
①出典
②サンプル数
③定義
を明確にしなければミスリードのもとです。


今回の所得分析も「どの世代に課題があるのか」を明確にしないまま「中流世帯」を論じています
NHKスペシャルに都合のいいところだけ抜き出したとも言えます。

マスコミのこういう報道ぶりには留意が必要です。




nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事

nice! 4

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント