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「鳥取市はコーヒー消費量全国第二位」という話の読み方 [小さな親切、余計なお世話]

この週末の微笑ましいニュースの一つは、

全国の都道府県で最後に鳥取で『スタバ』開店」(NHK 15.5.23)

鳥取に初のスタバ 開店前に1000人が列」(日経新聞 15.5.23)

全国で唯一、米系大手コーヒー店チェーン、スターバックスコーヒージャパン(東京)の店舗がなかった鳥取県で23日、JR鳥取駅(鳥取市)南側にスタバの店舗がオープンした。
店舗近くには前日の昼ごろから客が並び始め、開店前には約千人の列ができた。

と、主な新聞やテレビが面白おかしく伝えていたことです。


この報道の中で、「鳥取市は、コーヒー消費量が全国第二位」と伝えられていました。

これは「いったいどこで調べたのだろう?」「正しいのだろうか?」と素朴に思ってみたり。。。。。


この数字は、総務省統計局が毎月実施している『家計調査』という統計調査から引用したもののようです。

「家計調査」
~国民生活における家計収支の実態を把握して、景気動向の重要な要素である個人消費の動向など、国の経済政策・社会政策の立案のための基礎資料を提供するため、総務省統計局が毎月実施している統計調査である。
※サンプル数は約9,000

この「家計調査
2012~2014年平均の品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング
を見ると、

※家計調査の1世帯当たり品目別年間支出金額及び購入数量(二人以上の世帯)のデータから、どのような品目でどの程度の地域差があるのかを明らかにするもの


「コーヒー」への支出金額(円)別ランキング

全国平均 5,464
1 京都市 7,887
2 金沢市 7,095
3 奈良市 6,671
4 岡山市 6,478
5 盛岡市 6,471
6 広島市 6,449
7 さいたま市 6,396
8 高松市 6,315
9 仙台市 6,311
10 徳島市 6,197

15 鳥取市 6,015


「コーヒー」への購入数量(g)別ランキング

全国平均 2,299
1 京都市 3,440
2 鳥取市 3,126
3 札幌市 2,940
4 大津市 2,902
5 福岡市 2,828
6 広島市 2,790
7 岡山市 2,728
8 金沢市 2,716
9 高松市 2,689
10 松山市 2,671

この統計によると、購入数量ベースでは堂々の全国第二位なのです。


ところで、この「購入数量」というのはなんでしょうか?

「『家計調査』の収支項目の定義・範囲及び品目等の内容例示」というのを見ると、

コーヒー」は、

〇「飲 料」という大分類項目の中に、

乳製品、薬用品以外の飲み物(素材となる茶の葉やか粒・粉末なども含む。)で、アルコール分1%未満のもの。缶・瓶・パック・ペットボトル入りも含む。

〇「コーヒー・ココア」という中分類の項目があり、その中の

コーヒー豆、カカオ豆を主原料とするもの。ミルク・砂糖入りも含む。自動販売機・駅・車内売りも含む。

コーヒーという小分類の項目があり、この数字が用いられているようです。
 
粒、か粒、粉末、固体のもの。
○ トラジャ キリマンジャロ コロンビア モカ
○ カフェオーレ カプチーノ
○ インスタントコーヒー


この統計をよーく見ていただくと、

鳥取市は、コーヒー豆やインスタントコーヒーや缶・びん・ペットボトル・紙パック(含む自販機)などのコーヒー飲料の購入量が日本の主な町の中では、「京都市に次いで第二位」ということがわかってきます。


喫茶店で毎月どのくらいの代金を払っているか?」という支出額を見るのは、「喫茶代」(飲物(酒類は除く。)、菓子及び果物の外食。)という項目をみなければいけません。

〇喫茶代(円)

全国平均 5,451
1 名古屋市 13,303
2 岐阜市 11,697
3 東京都区部 8,395
4 川崎市 8,219
5 神戸市 8,188
6 奈良市 7,443
7 京都市 7,399
8 大阪市 7,266
9 横浜市 6,865
10 高松市 6,457

31 鳥取市 4,111

ということになっています。

つまり、鳥取市に住む人は、「コーヒー豆やインスタントコーヒーやペットボトル」などはよく買うけど、喫茶店ではそんなにお金を使わない

ということがわかってきます。

※「家計調査」というアンケート調査である以上、観光客や出張者などはあくまでもお住まいの地域の数字になり、また「コーヒーの値段(物価水準)」は考慮されないことになります。
つまり、東京の人が鳥取に旅行して「鳥取で飲んだコーヒー」は「東京の数字になる」といえます。


P5242413-01.JPG


参考までに、

〇酒類 (金額)

0 全国平均 41,558
1 新潟市 54,478
2 盛岡市 52,853
3 秋田市 51,648
4 仙台市 50,989
5 高知市 50,894
6 青森市 49,463
7 広島市 48,052
8 山口市 47,297
9 東京都区部 47,252
10 山形市 46,649

〇清酒 (金額)

全国平均 6,057
1 新潟市 11,966
2 秋田市 10,273
3 松江市 8,985
4 盛岡市 8,461
5 仙台市 8,414
6 金沢市 8,266
7 長野市 8,011
8 福島市 7,576
9 富山市 7,516
10 山形市 7,388

〇清酒 (数量:ml)

全国平均 7,568
1 新潟市 14,379
2 秋田市 13,632
3 盛岡市 10,770
4 松江市 10,280
5 金沢市 10,276
6 前橋市 10,248
7 福島市 9,996
8 長野市 9,788
9 和歌山市 8,927
10 鳥取市 8,856

〇焼ちゅう(円)

全国平均 6,701
1 宮崎市 15,278
2 鹿児島市 13,176
3 山口市 10,106
4 北九州市 9,635
5 熊本市 9,062
6 大分市 8,476
7 松江市 8,406
8 秋田市 8,190
9 青森市 8,079
10 長崎市 7,831

〇焼ちゅう (数量:ml)

全国平均 9,888
1 宮崎市 22,746
2 鹿児島市 15,615
3 山口市 14,504
4 青森市 13,491
5 秋田市 13,156
6 札幌市 12,924
7 大分市 12,414
8 北九州市 11,996
9 松江市 11,832
10 盛岡市 11,670

〇ビール (円)

全国平均 11,743
1 札幌市 16,038
2 広島市 15,506
3 堺市 14,485
4 大阪市 14,408
5 仙台市 14,188
6 盛岡市 13,652
7 秋田市 13,427
8 青森市 13,117
9 山口市 12,972
10 長野市 12,965

〇ビール (数量:リットル)

全国平均 22.27
1 札幌市 30.49
2 広島市 28.23
3 仙台市 27.83
4 堺市 27.38
5 大阪市 27.30
6 盛岡市 25.99
7 秋田市 25.73
8 青森市 25.42
9 北九州市 25.01
10 新潟市 24.34

〇ウイスキー (円)

全国平均 1,457
1 青森市 3,062
2 札幌市 2,550
3 さいたま市 2,348
4 盛岡市 2,285
5 東京都区部 2,238
6 仙台市 2,187
7 山形市 2,158
8 秋田市 2,146
9 千葉市 1,970
10 宇都宮市 1,941

〇ウイスキー(数量:ml)

全国平均 1,037
1 青森市 2,566
2 盛岡市 1,825
3 札幌市 1,788
4 さいたま市 1,575
5 秋田市 1,468
6 仙台市 1,449
7 東京都区部 1,449
8 横浜市 1,401
9 山形市 1,381
10 大阪市 1,284

〇ワイン (円)

全国平均 3,255
1 東京都区部 8,115
2 横浜市 5,767
3 長野市 5,256
4 仙台市 4,845
5 川崎市 4,829
6 甲府市 4,528
7 札幌市 3,940
8 福岡市 3,828
9 京都市 3,827
10 さいたま市 3,699

〇ワイン (数量:ml)

全国平均 3,214
1 東京都区部 7,126
2 長野市 5,477
3 横浜市 5,015
4 札幌市 4,608
5 高知市 4,584
6 川崎市 4,132
7 仙台市 4,054
8 福岡市 3,948
9 甲府市 3,870
10 さいたま市 3,605

〇飲酒代 (円)

全国平均 17,605
1 高知市 36,903
2 東京都区部 28,199
3 長野市 25,371
4 山形市 24,355
5 宮崎市 22,791
6 川崎市 22,634
7 盛岡市 22,457
8 松江市 22,372
9 新潟市 22,342
10 さいたま市 21,909

等々、住んでいる人のお金の使い方がわかってきます。

なお、その地域での販売額は「販売統計」を見ないとよくわかりません。
たとえば、「千葉」の人が「東京」で「缶ビール」を買って飲んだ場合、
・「家計調査」では、千葉の数字
・「販売統計」では、東京の数字
ということになります。


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