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「専門性」「専門家」を考える~銀行への借入申込ならどう判断したか? [銀行(員)と付き合う法]

先週末(17.03.03)に行われた石原元都知事の会見の中で、彼の口からは「専門性」「専門家」という言葉が何度か出てきました。

彼は「私は専門家じゃないので」という言葉である種の逃げをなさったようですが、もし、食品会社の社長さんが「豊洲の東京ガス工場跡地を買いたい」と銀行に申し込んだら銀行はどういう対応をするのでしょう?

設備投資ですから、「事業計画」書を提出していただき、「必要性」や「投資効果・採算」、「返済能力」の検証は当然行うものとして、この案件の場合は、

1.取締役会の決議の有無

 ~「重要な財産の譲受」「多額の借財」の決議等の有無

2.「東京ガス工場跡地」という特殊性の調査

 ~「化学物質」の残存可能性とその影響を調べます。

3.「売買価格の妥当性」の検証

 ~物件によっては「鑑定評価」をとったり「売買事例」と照らしたりします。

4.融資対象物件としての担保評価

 ①法的な規制はないか?

 ②換価性はどうか?

 ③担保掛目はどうか?

などを丁寧に検討します。


ただ言えるのは、

メッキ工場などのように化学物質を取り扱っていた跡地に食品加工工場を建設する

と聞いた瞬間に、「これは面倒」と先入観を持ってしまう案件であることに間違いありません。

融資担当部門は「化学物質」の専門家でもなければ「法律」の専門家でもありません。「マーケティング」にしても専門家ではありません。

銀行の持つ各部門や顧問・関係先あるいは研究機関や行政機関などの意見も参考にしながら融資への総合的判断を行います。


東京都は「都の組織は相応の機能分化」しており、また「専門的な分析を行うパイプ」もいくらでもあったと思います。
豊洲の東京ガスの工場跡地」を買うにあたっては、こういう多角的・多面的な調査分析の中から総合的な判断を行うのが都知事の仕事だったはずです。


こういう点で見ると、「私は専門家ではない」「専門家に任せていた」という言葉が空しく聞こえてしまいます


なお、優良な食品加工会社(の社長さん)なら、こういう工場用地を買うという発想はないはずです。


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