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番頭さん(専務)が解任されるとき(クビになるとき) [企業経営の風景・裏付けのない経営学]

景気が悪くなって、業績に陰りが出始めると、一枚岩であった企業の雰囲気も一変することがあるようです。
最近耳にしたのですが、とある企業の専務が解任されたとのうわさです。

「あの会社は専務で持っている」というのが銀行員仲間での本音だったかもしれません。
その会社は、確かに財務内容も良好で、この程度の業績不安なら何とか乗り切れるレベルだとだれしもが思うような優良企業でしたが、
古くからお取引のある銀行が、いわゆる「反復融資に応じなかった」と伝えられています。
やはり、銀行筋に評判の良かった専務の解任(退職)の影響が色濃くでているようです。

この分では、次に貸出期限が来る銀行が反復融資に応じるかどうかに注目が集まってしまいます。
財務内容もよく、資産も相応に保有している企業ですが、
業況の先行きが読めない
社内の人心に乱れが生じている
銀行筋に評判の良かった専務(番頭さん)が退社した
ということから、銀行も反復融資に慎重になっている可能性がありますです。

当社は、数年前に亡くなった創業者会長とこの専務(当時は部長でした)が企業の屋台骨を作り、雇われ社長が営業面の責任者でした。
そうそうこの専務もオーナー一族とは関係のないサラリーマン専務でしたが、亡き会長とは呼吸もぴったりで、専務も仕事の虫というか滅私奉公型で会社のためにと一所懸命でした。

会長のご逝去に伴い、会長の奥様が新会長に就任され、今までの社長が営業面を、部長が専務に昇格して総務・財務という内部を守るというトロイカ体制で後継が始まりました。
今までと少し違うことがあるとすれば、
亡き会長の奥様がご経験のない会社に入ってこられたこと
今まで番頭さんであった部長が「代表取締役専務」に就任された
ことです。

その後、知らないうちに、奥様会長が社長に就任され、そして、今回の専務解任の事態になってしまいました。

会長がご逝去された直後に後継体制の報告・ご挨拶を受けましたが、その時担当であった小生は、後刻、こっそり専務を呼んで
代表取締役を辞退できないか
せめて名刺から「代表取締役専務」の肩書を削れないか
と打診しました。
まぁ、代表取締役の辞退というのを、小生が軽々と申し上げる立場にはないのですが、
専務をよく知っているものとして、「危ない!」と思ったのです。

理由は、次のようなことからです。
①代表取締役の重みというのはなかなかわからないものです
②「共同代表」でない以上、オーナー企業に代表取締役が複数いるのは問題が生じやすい
③オーナー一族でない人が、代表取締役になるということはオーナー経営の中小企業では苦渋の決断です
④優秀な番頭さんがトップになって成功されるケースは少ない

専務は、後日、取締役○○部長という名刺をお持ちになりましたが、その哲学までご理解されていたかどうかは疑わしい限りです。

伝え聞くところによれば、
社長である亡き会長の奥様がコンサルタントと契約され、そのコンサルタントが、専務に対し「平社員としてやっていただきたい」旨の申し入れをしたとのことです
真実は存じ上げませんが、この手の話はよくあるものです。

ちなみに、コンサルタントを入れてうまくいくのは、工場現場でのケースが多く、本社やオーナー経営者の経営ぶりの改善という意味ではあまりうまくいかないようです
(うまく行ったという話を聞いたことがないばかりか、口悪く言えば、「食い物」にされてしまった会社も中にはあるようです。)

創業することはなかなか難しいものですが、後継体制を作ることは、さらに難しいもののようです。
この会社も、何とか「いい会社のまま」で生き残ってほしいものです。

※反復融資[本]
分割して弁済することを条件にしない期限一時払いの融資です
反復融資に銀行が応じない場合は、逆に銀行から一括返済を求められます
一年以内の短期貸付の場合が多く、金利だけ払えば元金返済をしないで済みます
企業の中には、銀行からの借り入れの基礎的な部分になっているケースが多く、事実上長期貸し付けとみなされることもあります
元金を返済する手間が省かれることから、一般的な企業には多用されています
ただ、業況変化等で反復が認められないと、一括して借り入れを返済しなければいけません
銀行側も、優良企業向けの貸出として残高が減らないメリットがあるほか、基本的には短期貸付ですから、機動的に金利を上げたりできることがあります

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