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「銀行」はどんな人(企業)にお金を貸すのか? [銀行(員)と付き合う法]

私は銀行員でした。
銀行の内部事情を話すことは守秘義務にも抵触しますので差し控えるとして、少し「銀行」の仕事のことなどを話してみましょう。

仕事柄、企業経営者の勉強会などに招かれお話をすることがありました。
ある時、会場の方から
銀行はどんなとこ(企業)に融資をするのか?
上手な融資を受けるためのノウハウを教えてほしい
という質問をいただきました。


こういう質問に即答するのも面白くないので、逆に質問を返してみました。

もし皆さんが銀行員ならどんな企業にご融資されるのか?

と。。。。
(読者の皆さんも少しだけ考えてみてください)


少し考えてもらい、アトランダムに回答を聞くと、

●優良企業
●儲かっている企業
●経営者がしっかりしている企業
●きちんと返してくれる企業
●資産がある企業

●担保がある企業
●保証人がしっかりしている企業
●保証協会がつく企業

●将来性がある企業

等々、常識的と言えば常識的ですが、よく考えると、銀行以上に融資のハードルが厳しく、こんなにチェック項目があるととても「融資ができる企業などない」という状況になってしまいます。


そこで「融資の時の着眼点」を説明しておきました。

お金を貸す時のキーワード(融資のポイント)としては、

①貸したお金を返してもらえるか?
~返してもらうためにいろいろな角度から調査・審査をします。

「借りたお金は必ず返す」というシナリオや行動が必要です。
借りるときは「必ずお返しします」とおっしゃる方は多いのですが、倒産したりして督促をすると「貸したほうが悪い」とおっしゃる方も中にはいらっしゃいます。

②貸したお金が有効に使われるのか?
~銀行は極めて社会性の高い商売です。皆様からお預かりしたお金を束ねて融資するのですから、「何に使うのか?」ということには慎重になります。

③企業が持つ経営資源、経営資産はどうか?
~「経営資源」「経営資産」とは、その企業の「人」「もの」「カネ」です。

・「人」とは「経営者」「番頭さん」「後継者」「従業員」「お取引先」「お客様」などです
・「モノ」とは、「製品」「商品」「在庫」「工場」「店舗」「生産設備」「遊休資産」などです。
・「カネ」とは、「自己資金」「お金の流れ」「経営者の財産」などです。

※余談ですが、「人、もの、カネ」と言うことはあっても、「もの、カネ、人」「カネ、もの、人」とは呼ばないのが何かを物語っています。

④先行きはどうか?
~「将来性」です。現在順調なご商売をなさっていたとしても、「将来の経営ぶり」が不確かな企業というのもあるものです。
どんなに売れている商品でも「ある日突然」売れなくなることはあるものです。
「事件」「事故」「法令違反」「規制」「時代や環境の変化」「代替商品の出現」等があれば「商品寿命」「企業寿命」はあっという間に来てしまいます。

※今は不調でも、将来展開に期待の持てる企業というのもあります。

⑤ディスクローズは行なわれているか?
~「経営ぶりの不透明な企業」には融資はしません。
たとえば「反社会的勢力との付き合い」「粉飾」等々の情報の隠蔽がある場合などです。
いわゆる「情報公開」とか「経営の透明性」と言われていることです。
倒産(破綻)した時には、こういう暗部がクローズアップされてくるものです。

⑥企業としての売却価値(商品価値)はあるのか?
~「企業を売る」という発想はなかなかとりにくいものですが、「もしその商売をやめる時、企業価値はあるのか?」ということでもあります。
平たく言うと、「ストロングポイント」と「ウィークポイント」が明確かということでもあります。

※担保の話を書きませんでしたが、担保は絶対条件ではありません。
不動産だけではなく、特許などの知的財産権、あるいは商品の流れ全体を担保にとる、売上債権を担保にとる等々も可能です。


ということなどです。


時々は、「経営者」あるいは「従業員」の皆さん自らが「自分の会社にお金を貸すなら」という発想で「自己点検」をなさってみたらいかがでしょうか。。。。。


※「こんなに難しいことなのか?」とお思いかもしれませんが、「企業の経営ぶり」を判定・評価するということは本当に難しいことなのです。


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