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口蹄疫問題は、リスク管理の教科書 [裏づけのない経営学]

宮崎の口蹄疫問題の当事者・関係者の皆さんにお見舞い申し上げます

ところで昨年の秋、大騒動となった新型インフルエンザのことを覚えてらっしゃいますでしょうか
・オフィスの入り口に置いた手指の消毒液
・あわてて取り寄せたマスク
等々は今はどうなさっているのでしょうか(余計なお世話ですが。。。。)

ところで今回の宮崎口蹄疫の問題は大変なことになっているようです
昨日(5月19日)のニュースによれば、約30万頭の牛豚を「殺処分」にしなければならないらしいのです

もしみなさんが、直接的には関係がないということであるのなら、犯人捜しをすることのではなく
経営上のリスク管理・対応の教科書としてご覧になったらいかがでしょうか

テレビの報道の中には、畜産農家をして、「農家である前に牛の家族」であるような報道も見られました
心情的には理解できますが、生業・職業として畜産業を営んでいらっしゃる以上は、企業経営という目で見ることも必要です

・家族同然の牛を殺すのは忍びない
・肉となって食卓に上るのが牛の本望
などという情緒的なコメントもありましたが
テレビや自動車を作っていらっしゃる皆さんも、テレビや自動車などの製品のことを、「手塩にかけたわが子」の思いで出荷されています
モノを作る方々の心情は、動物であれ工業製品であれ同じではないでしょうか

さて、「他山の石」として経営管理のテーマとして考えてみましょう
1.基本的な考え方のチェック
小生は、かねがねこのブログでも書き込んでいますが、「命に関するビジネス」は大切であり、この分野で成功することがビジネス生き残りの秘訣と考えています

[本]
「命へ繋がるビジネスが生き延びると言う法則(不景気に生き残るビジネスとは)」
http://beniha.blog.so-net.ne.jp/2009-02-03-1

急にマスコミが報じ始めた
①各国の口蹄疫事情
②狂牛病の時の課題
③O-157の時の課題
等々は以前から畜産業に活かされていたのでしょうか

NHKのニュース番組によれば「2001年のイギリスの口蹄疫」の場合は
①600万頭の牛を焼却処分
②軍隊が出動
③解決(全頭処分)までに1年かかった
④国をあげて対応し国家議員選挙を順延した
等とのことでした

また、大学の先生等のお話をかいつまむと
①これだけ厳重に対応してきたので、この広がり方は予測できなかった
②発見日が4月9日であるにもかかわらず、当初は口蹄疫と認識されなかったのは、風評被害等を意識すると軽々と断定できないのが実情で発表が遅れたわけではない(公表されたのは4月20日)
③この病気が広まるスピードは速い
とのことらしいです

2.経営陣(宮崎県)の対応のチェック
①5月19日の新聞報道では、「農家への補償」などという話題も載っています
東国原知事も政府方針の殺処分について「「補償はしっかりしていただく」とし、受け入れには農家への補償が前提になると国に伝えた」(読売新聞)ということのようです

食品製造会社の問題であれば、「業務停止及び廃棄処分について国に補償を請求する」というようなことをおっしゃる企業はないのではないでしょうか。。。。。

確かに、今回の口蹄疫は畜産農家だけで防げた問題かどうかはよくわかりません
しかし、牧畜が企業経営である以上は、
・保険に入るとか
・農場への出入り制限・消毒を日常的に行う
・農場間の距離間隔規制を行う
等々、予防的なものは何かなさっていたのでしょうか・・・・・

②宮崎県の公式ホームページを見てみましょう
http://www.pref.miyazaki.lg.jp/index/category/03_news01.html
4月20日に口蹄疫をプレス発表して以降
新着情報のアーカイブを見る限りでは
4月20日 口蹄疫の発生に伴う 「中小企業特別金融相談窓口」 設置のお知らせ
4月28日 「口蹄疫緊急対策貸付」 の取扱いを開始いたします。
5月14日 農業制度資金のご案内 (畜産農家向け口蹄疫対策資金について)
ぐらいしか
5月18日 「口蹄疫」非常事態宣言 までめぼしいものはありません

③農林水産省の公式ホームページを見てみましょう
http://www.maff.go.jp/index.html
4月20日 口蹄疫の疑似患畜の確認及び口蹄疫防疫対策本部の設置について
http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/douei/100420.html
を掲載して以降毎日、情報を提供しています
その情報を、国民やマスコミのみなさんがどのように受け止めていたかは別ですが、相応に情報提供があります

3.宮崎カンパニー経営者の東国原知事について
知事は、オフィシャルブログ「そのまんま日記」というのをお持ちです
そのブログを見る限りでは
4月14日 大阪高島屋、阪急西宮店、JR西日本等でトップセール
4月15日 参議院総務委員会で参考人質疑、午後に舛添氏と会談、その後全国知事会政権公約評価特別委員会等に出席
4月16日 臨時県議会等公務後、夜、またまた上京
4月17日 総理官邸主催の「桜を見る会」
4月18日 「延岡大師パレード」
4月19日 県内市町村長による自治懇話会
4月20日 口蹄疫公表
   以降 口蹄疫関係の記述多数

さて皆さんはいかがお思いでしょうか?
小生が素朴に感じるのは
①宮崎県のホームページではなく、知事の個人的なブログに口蹄疫の話が多数掲載されている
ただし、4月19日まではご出張続き
②以前から週末のテレビ出演が多数
~今まで勤務した地方の知事の皆さんは、土日は県内各地を回られ、県内行事を精力的に消化なさっていました
選挙活動なのかもしれませんが、自分の目で県内をご確認されていたのではないでしょうか。。。。。

(たしか、東国原知事は、マニフェスト至上主義で地方分権を強調なさっていたはずです)
現場視察とグランドデザインを自ら描くのがカンパニーー経営者の重要な仕事のはずです
「本社筋の関与はいらない!」とでも言いたかったはずです

みなさんの企業はいかがでしょうか?
①経営トップは、現場をよく見てらっしゃいますか?
②理念先行になっていませんか?
③他社や他業態の教訓をベースに「くどい」あるいは「神経質まで」に「あれはどうなった」的に品質管理を求めていらっしゃいますか?
④海外出張を気楽にできるように、番頭さんと組織作りをなさっていますか?
⑤私的な意見で情報を流してらっしゃいませんか? (知事も社長も公人です)
⑥「まさか」を見つけていらっしゃいますか?
⑦「まさか」に備えて有形無形の保険をかけていらっしゃいますか?

こんなときに不謹慎かもしれませんが、宮崎口蹄疫問題は、経営リスクの所在とその対応を考える上での教科書になりそうです

かつてこんな話がありました
①有名な果樹農家に販売支援をしましょうと申し出たら、断れました(しかも余計なお世話と叱られました)
(理由)
・急に売上を増やしても、農産物は増産が間に合わない (機械では作れず、生産に1年かかる)
・拡販すればブランドイメージが損なわれるとともに、品質も荒れてくるし、結果的に値崩れしてしまう

②かつてお取引先の食品業者の社長から、タイの養鶏業者を紹介されたことがあります
宮崎に視察に行った帰りだそうです
鳥インフルエンザ対策として、先進日本の養鶏場を視察し、参考にしたいということでした
ただ、タイの彼の企業のほうが規模ははるかに大きかったようです

今、企業経営者やその幹部のみなさんがなさらなければいけないのは
①宮崎には行かないこと(口蹄疫は人が運ぶ可能性も否定できないそうです)
②自社の経営に置き換えて、経営リスクチェックを行うこと
③口蹄疫問題の帰趨が明確になったら支援を惜しまないことです

少なくとも農業は命に繋がるビジネスです








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