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新型コロナで「倒産」を語る時の留意点 [新型コロナ]

新型コロナの影響で「倒産が増えた」と語る識者は多いようです。
ただ、弁護士さんの中にも「倒産法制」「倒産の実態」をよくご存じでないようなコメントもあります。


弁護士さんと言えども得意分野と実務に習熟されていない分野もあるはずです。
例えば、お医者さんでも産婦人科医と眼科医とは違うように。
「弁護士だから」という立場でお話になる時には実務を踏まえてお話されることが必要ではないでしょうか。


例えば、新型コロナの影響による売上減での倒産を語る時に留意しなければいけないのは、

1.倒産の形態には種類があること

大きく分けると
法的整理
~法律に則り収束を図るもので、
●再建(事業継続)型~会社更生、民事再生
・・・事業継続のため債権者と話し合うもの
●清算型~破産、特別清算
・・・事業精算のために債権者と話し合うもの
があります。

任意整理(私的整理)
~法律に依らず、事業継続あるいは事業清算を債権者と話すもの

夜逃げ
~平たく言えば「踏み倒し」です。

に分かれます。
そういう使いわけをきちんとやりましょう。


2.「倒産」というのは瞬時に起きるものではない

①低収益体質
②脆弱な財務体質
③投資などの経営判断の失敗
④債権回収の失敗(連鎖倒産)
⑤融通手形操作
⑥内部の不祥事(使い込み)

等が原因であることも多く、今回のコロナのように「大幅な売上減」が引き金となることが多いのです。
この①~⑥のようなケースは「コロナでなくても倒産する可能性は高い」と見ることもできます。


3.「廃業」は倒産ではない

時々「廃業」を「隠れた倒産」であるかのように説明される方もあります。
「事業継続ができない」という意味では「倒産」に似ていますが、「倒産」と違うのは、
①債権者にご迷惑をかけていない
②収益の先行きに期待が持てない
③後継者(経営者、技術者等)がいない
と言った点が顕著です。

こういう廃業は、
・「土地バブル」の時のように経営資産が高くで売れる
・「新型コロナ」のように今後の売上、収益に期待が持てない
・「高齢」「病気」「退職」等で後継体制に期待が持てない
と言った事情があるものです。
例えば、お医者さんや理髪店などを思い浮かべるとよくわかりますが、後継ぎがいないためにやむなく事業継続を断念するというのはよくあることです。

また、「廃業の自由」というのもあります。
例えば、「大儲けしたので気楽に暮らす」という考え方もいらっしゃいます。


事情を分析せずに、コロナで悲観的な話に繋げるために統計数字を安易に解説なさる方もいらっしゃるようですが、こういうポイントもあるのです。



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