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銀行に「外出簿」がある事情 [銀行(員)と付き合う法]

最近のネットでは、「おかしなルールあるある」のような話をよく見かけます。

最近の方あるいは社外の方から見れば「おかしな」ことでも、ルールやマナーの中には合理的な理由や事情が説明できるものも数多くあります


銀行では、

「私用外出」「公用外出」ともに「外出簿」に記載して許可をもらうことが求められます。

理由は簡単です。
人様のお金を扱うからです。

上司の許可もないのにお客様を訪問することは「不正を働いているのではないか?」と想定されてしまいます。
過去にも「お客様のお金の使い込みには無断外出あるいは急ぐ用件でもない外出」ということがよくありました。
一件でもそういうことがあれば「他山の石」としてルールが作られてしまいます。


私用外出」は特に警戒されます。
かつてS銀行で起きた女子行員の多額横領事件が有名です。
勝手に億円単位の多額の振込をしたまま「歯医者に行く」と言ってそのまま所在不明になった女子行員がいました。

そういうことが起きやすい職場のため「外出」にはナーバスな対応がなされるのです。
ボタン一つで億円単位のお金が流出してしまうリスクもあるのです。


職場内で落としたお金は自分のものにしづらい

これも理由は明確です。
「1円でも経理が合わないと帰れない」と言われた職場です。
「お金が商品」なるが故のことです。

たとえ1円でも、自分のポケットや財布から零れ落ちたお金は「銀行のお金(お客様のお金)ではないか」と疑われてしまいます。
「現金その場限り」という言われる職場ならではのことです。

なお、ATMの取り出し口などに1円でも残ってしまうと扱いがとても大変です。
・機械の故障なのか?
・お客様の取り忘れなのか?
等々いろいろと考えなければいけません。


銀行の支店には内部に食堂がある

大きな銀行なればこそかもしれませんが、「食事も内部で食べる」ことが原則です。
銀行法で営業時間が厳格に決まっていましたし、昼休みほど混み合うのが銀行でした。

今のようにATMやネットバンキングが普及・定着する前のルールの感はあります。
最近、いくつかの銀行が「お昼休みはシャッターを閉める」という動きを始めました。
「働き方改革」の一環でもあり、「お昼休みだから」という理由で現場の従業員の数を減らすわけにはいかなかったからです。

また、「食事を外で食べる≒お客様と食べる」というリスクにつながることもあります。
お客様と食事をする時にも許可が要ります。
事情はおわかりだと思います。


「外出かばん」は貸与

銀行員の外出かばんには、
・金銭
・有価証券
・顧客情報
等々が入っていることがよくあります。
したがって「かばん」と言えども「私用」と「公用」がわけられているのです。

なお、営業車の中ですら「検査」の対象項目です。
上記の金銭や書類が車の中から発見されたらペナルティなのです。


「副業」は禁じられる

銀行では「癒着」とか「信用情報の漏えい」というのは嫌われます。
だから給料が高かったり、転勤が多かったりするのです。


私用の携帯電話やスマホの持ち込みは制限される

どこかの銀行で頻発した「芸能人の個人情報の流出」というのがありました。
たしか本人確認書類をコピーしたか写真に撮っていたという事案だったと思います。

また不正は個人の携帯電話を使うということが実際によくあったからです。
オフィスでは「部下や同僚がどんな内容の電話をしているのか?」ということにそば耳を立てていることもあります。
安易な応答で企業を倒産させてしまうことや不正に手を染めることもできてしまうからです。


実家が取引先企業の場合は取引支店には配属されない

ある有力取引先のお嬢様が取引支店の預金係にいたことがありました。
ある時、不運にも彼女の実家の企業が倒産してしまったのです。

いろいろな事情があったのでしょうが、彼女はその日を境に休暇を取り退職してしまいました。
家族が保証人であったり、自宅が担保処分されたり、貸出金が延滞のままでは勤務を続けることは無理だったのでしょう。

「人事のいたずら」の部分はありますが、そういうこともあるのです。


長い年月の間には、社会構造も企業構造も変わりました
過去の事情を知らない世代には「変なルール」に映ってしまうことも多々あります。
たしかに「歴史の遺物」になってしまったルールも数多くあります
また、実際には「阿吽の呼吸」とか「暗黙の了解」で運用されているルールもたくさんあります。


「ルールのよしあし」を判定する時には合理的な説明がどの業界よりも求められてしまいます
ネットで騒ぐ前に社内で有職故実と理屈と不合理性を確認してみることも必要です。


最近は少なくなりましたが、ルールが曖昧なために、
●犯罪に巻き込まれたり
●お亡くなりになったり
した方もある
ということも書き留めておきたいと思います。


想像以上にストイックな職場です。
著名大学を卒業なさった方でも「緩い」タイプの方の中には「仕事が嫌になる」ことも多いようです。

だから銀行員という仕事はおもしろかったりするのです。

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