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「個人消費」という勘違い [どう受け止めたらいいのか]

その昔「給付金で経済を回す」と言っていた人がいました。

どの程度の給付金なら経済が回るのでしょう。
客の来ないラーメン屋さんや居酒屋さんに行く程度で経済は回るのでしょうか?


ところで多くのエコノミスト(もどき)がよく使う「個人消費」という言葉。。。それなりに誤解もあるようです。

例えば、

1.「家計調査」意味を知っていますか?

毎月総務庁から発表される「家計調査」。
これはサンプル約8000のアンケート調査です。
ポイントは「世帯」の「消費額」です。

みなさんのお宅でお子さんまで含めた「世帯」の消費額は把握できますか?

エコノミストさんの話を聞いていると「名目」とか「実質」などと言う専門用語が飛び交いますが、それは物価変動を含むか含ま内科の話です。

それよりも、「消費構造の変化」をもっと把握しなければいけません。
例えば
・今まで1万円のYシャツを着ていた人でも5千円のYシャツで十分と考える人が増えているかもしれません。
・ユニクロの出現(一般化)で良質の衣料品の価格が大幅に下がっている(価格の安いものを買う)かもしれません
これらは物価変動とは異なります。
品質の向上による標準価格の変化です。

蛇足ですがこの家計調査が面白いのは、
「どこでお金を使った」ではなく「誰がお金を使った」かということです。
東京の人が北海道に行ってソフトクリームを食べてもその消費額は東京の人の消費になると言うことです。
ご商売をなさる方はそこをよく踏まえていらっしゃるかどうかでも成否が決まります。


2.個人消費のように見える「企業消費」

例えばデパートのお菓子売り場に行ってみてください。
なんと「領収証を下さい」という人が多いことか。
家計簿をつけるだけならレシートで十分です。
「領収証」という人たちの多くは「企業の経費」で落とす人たちなのです。
レジに並ぶ(お金を払う)人は一人の個人でも「財布は企業のもの」なのです。
当然のことながら「家計調査」には載ってきません。
これは自動車の購入などにも顕著に現れます。
いわゆる「社有車」です。
今はリースも増えましたからなかなか分かりにくいものがあります。

ですから「消費」という時には
●チェーンストア(スーパー)の販売統計
●百貨店の売上統計
●自動車の販売統計
なども合わせ見ていかなければいけません。

かつてのエコノミストの方々は当然のように分析していたのですが、最近のエコノミスト(もどき)の皆さんがこういう消費構造をどこまでご存じかよくわからいません。


3.「消費の質」が変わってきた

例えばお米の消費が典型です。
販売統計を見てもわからないことは
・パン食が増えた
・高齢化社会は「量消費」が減る
ということ。

コーヒーもそうです。
コンビニの店頭でおいしいコーヒーが飲めるようになりました。
わざわざ喫茶店の高いコーヒーを飲む人も減ったのではないでしょうか?

これも蛇足ですが「コーヒー」と一口で言っても
「インスタントのコーヒー」や「コーヒー豆」と「カフェやレストランで飲むコーヒー」はカテゴリーが違います。
後者は「外食費」です。


4.「国家公務員倫理法」「国家公務員倫理規程」という構造変化

21世紀初頭、消費構造に大きな変化がありました。
それは「国家公務員倫理法」(2000年4月1日施行)「国家公務員倫理規程」(2000年4月1日)の施行です。

これらは平たく言えば「接待」「贈答」の制限です。
「国家公務員」と名前がついていますが実態的には多くの企業の「接待」「贈答」ルールに大きな影響を及ぼしました。

いわば「企業消費」革命です。

その結果として
①お茶
②海苔
③梅干し
と言った贈答や手土産の定番商品の販売には大きな変化がありました。

付随的には「料亭」の利活用も大きく変わったはずです。

あれから20数年。
こういう企業消費のルールも見逃せません。
おそらく「外商」という言葉も一般的ではなくなったかもしれません。
デパートの訪問販売部門(いわば御用聞き)のことです。



かくかくしかじか「消費構造の分析」もなく消費を語る人がなんと多いことかと閉口してしまう次第です。







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