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小室事件 [企業経営の風景・裏付けのない経営学]

音楽家の小室哲哉さんが逮捕されました
彼は、歌手なのか作詞・作曲家なのか(テレビでは音楽プロデューサーと言っていましたが)経営者なのか本業はよくわかりませんが、たいへん示唆的なニュースでした
人の災いをまな板に乗せる失礼を許していただくなら この事件は、とても面白いと思います

A.一世を風靡した音楽家の破滅と見ると
 やはり人気商売だったのだ とあらためて思ってしまいました

B.音楽事業家(音楽ビジネス経営者)の経営破綻と見ると
 つねづね小生がこのブログで申し上げていることをあてはめて確かめてみてください


音楽事業家(音楽ビジネス経営者)という視点で少しコメントしてみましょう
ニュースを拾ってみると
1.NHKのニュースでは「金利の高い金融機関からの借入」と言っていましたが、借金が多かったようですね
 他にもカード会社への返済とも言っていました
 通常、企業が倒産・破綻したときの負債の中心は銀行からの借入です
 やはり、いわゆる芸能関係の方は銀行から借入がしにくいということの証左です
 
 銀行が貸出をするときの決め手のひとつに「先行き」「将来見通し」と言うものがあります
 芸能人やスポーツ選手の場合、将来の見通し、すなわち来年以降も人気が続き、安定した収入が得られるかと言う 収支計画(見通し)が立てにくい事が特徴的です
 
2.彼の本業はなんだったのでしょうか
 音楽ビジネスの経営者と言う面と、音楽プロデューサー・歌手・作詞作曲家等々の音楽家としての側面がありました
 趣味とか片手間で音楽をやる方は多いですが。。。。
 銀行がお金を貸すときは、「収益の柱はなんなのか」と言う点には着目します

3.「ヒト・モノ・カネ」のチェックをしてみるとどうでしょう
 いわゆる、彼のビジネスの経営資源はどうだったのでしょうか?
 ①ヒト 
  ・彼自身がすべてでしたね ワンマン経営なのでしょう
  ・野球が典型的ですが、ひとりで攻撃と守備をすることはできません
  ・野球ならピッチャーで4番のワンマンチームでも、他に8人のメンバーがいます

  ・番頭さんはいらっしゃらなかったのでしょうか?
  ・奥様の実家にまで借金の取立てが行っていたようですが、
   もっと早く、何とか忠告は出来なかったかな
  ・よきパートナーはいらっしゃらなかったのでしょうか

 ②モノ
  ・定番商品は大事にして、その上で新商品を開発されたのでしょうか
  ・商品寿命と言うのもありますから、マーケットに受入れられているかどうかの検証が必要です
  ・育てた商品(人材)のケアはちゃんとできていたのでしょうか

  ・今回の詐欺事件の主役だった「著作権」は彼の収益の源泉でもあります
   それを売却すると言うのですから最悪ですね
   そもそも音楽著作権は複雑なようですが。。。。。
   収入の受け取り請求権を担保にお金を借りることもできたはずです

  ・彼は莫大な富を築いたはずです その富が財産となって残っていたのでしょうか?
   自宅はマンションだったようですが できたら戸建ての住宅がよかったです
   マンションと違い、イザと言うときの換価性は格段の差です

 ③カネ
  ・あれだけヒットを連発したのですから、預金はあったのでしょうね 当然のことながら。。。
  ・事業家・企業家であるのなら、
   銀行から「お金を借りませんか」とセールスを受けるような体質作りが必要です

4.「成功した企業トップの15か条」に照らすといかがでしょうか?
 確かに彼は音楽家として大成功をしました
 しかし、大成功を持続するのはたいへん難しいです
 ニュースとかテレビの番組で見ただけで彼を評するのは失礼ですが、たぶん皆さんもお気づきだと思います
 やはり、「細かさ」にかけていたようですね 緻密に計算されていたかどうかは疑わしいです
 もし音楽事業家として生きていくのなら。。。。
 
 また彼を知る人がコメントしてました
 「彼は収入が減っても生活レベルを落とせなかった」と、
 たとえば「いつも飛行機はファーストクラスを利用」みたいなことですね
 事業を志す以上はいわゆる「そろばん勘定」が必要です

 彼の目標はなんだったのでしょうか?
 ビジネスには明確な目標が必要です その目標に向かって絵は描けていたのでしょうか?
 才能だけのドライバーショットではスコアはまとまらないし、優勝もできません

 もてはやされた人が陥りやすい罠は「ストイック」になれるかどうかです
 芸能関係の人はどうしても派出に映ります
 からよくわかりませんが、そこが一番のポイントのひとつです

倒産とか破綻したと言う情報に接したときは、「他山の石」として、自らのスタンスをチェックされるのもいいかもしれません



タグ:小室哲哉
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コメント 2

silvia

数年前に、私の会社でも危機的状況がありました。それは、「大きな倒産に引っかかった」というのが直接でありましたが、本当のところは「銀行との付き合い方を他人任せで、オーナーが知らなかった」ことでした。

倒産に引っかかったことをきっかけに、私が父に変わって銀行折衝をしました。今までは、単に「銀行担当’サラリーマン’」だったのが、「オーナーの息子が担当者」になったのです。

実際にやってみて、「お金の借方」も解りました。最近思うことは(あくまでも、一つの見方ですが)、「営業マン」から見た商売の仕方もありますが、「銀行マン(金融担当者)」から見た商売の仕方もあるのだなあと。
本当に、銀行折衝をして見て良かったです。そのお陰で、「銀行マン」の考えていることが解るようになりました。
それは逆説的に見ると、「経営者としてどのようにしないといけないか」が解ったような気がしました。

きっと、小室さんもこと「音楽」に関してはすばらしい才能を持っていらしたのでしょうが、それと「企業経営」の差には中々気がつかなかったのでしょうね。

最近更にちょっと感じることは、「無借金企業にするぞ」と数年前まで思っていましたが、「お金(資金)と営業は、うまく二人三脚でやっていくべきだ」と気がつきました。戦争をするにも(例えは良くないかもしれませんが)、鉄砲の弾が無いと出来ません。まさにこれと同じように、営業を伸ばす(変革する)ときには、やはり資金が必要だと感じております。
by silvia (2008-11-10 17:59) 

beni_ha


コメントに返信するのを失念しておりました。
申し訳ありません。

おそらく「企業経営」には「晴れ」の日ばかりではないかもしれません。
「雨の日にはどうするのか?」というのも経営上の大きなテーマです。

「折り畳み傘の一つでもポケットに忍ばせておく」余裕が欲しいものです。

「企業」というのは一人ではなかなかうまく動かすことが出来ないようです。

内には「番頭さん」と言われる嫌われ役の口うるさい気の利いた人が必要だったりします。

ただ、「内」にそうそうは人材が整わないのも世の常です。
そんな時、「社外監査役」のように厳しいことも行ってくれる立場の友人を持つことだとつくづく思います。

「銀行」は「お金を貸す」だけではなく、「知恵を貸したり」時には「反面教師」であったりします。

「雨の日には傘を貸さない」と言われる「銀行」とうまく付き合うというのも経営には必要だと思います。

※銀行から融資を受けてなくても「預金」などがあれば、あるいは「将来に期待」があれば丁寧に応援してくれます


また「実質無借金」(借入金以上に預金がある)という銀行との付き合い方もあります。



by beni_ha (2017-08-29 21:22) 

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