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「観光」について考えるいい機会 [新型コロナ]

先日ある温泉地に旅しました。
温泉には入らない旅でしたが。。。。

そこで地元の方にお話を聞くと「宿泊客が来ない」とのこと。
「韓国との関係がああいう状態で今また中国がこんな状態だからですか?」
と聞くと
違うんですよ
数年前の災害を境に人が来なくなりました。しかも周辺にいい道路ができたことで素通りもされるようになりました。
と。
私がその地に行くまでは「言えなかった真実」のようです。
なにせ知事やマスコミが派手に動いていた所でしたから。


難しく言えば、「構造的な問題」が根っこにあり今回の「新型コロナ」が引き金を引きマスコミ的には「たいへんだぁ!」の合唱になっている地域もあるということ。


「アベノミクス」とか「地域創生」策の典型例の一つに「観光」と言うのがあります。
事情はと言えば、

行政や公務員が手伝いやすい
・今やHPに「観光」と言うアイコンのない地方自治体はありません
・パンフレットを作るなどでやった感がある
・公務員さんも資格などを取らなくても参加できる
・コンサルタントを呼びやすい
・具体的な成果の責任がない

成果がわかりやすい
・入り込み客のようなもののカウントで評価される
・非正規とは言え雇用増が見える
・住民にもわかりやすい

補助金が配りやすい
・パンフレットの作成
・HPの作成
・東京への出張
・「〇〇大会」のような行事がやりやすい

定職についてなかった人たちが参加しやすい
・資格や専門的知識が不要
・「口から先」でも働ける
・基本が非正規ビジネスですから

マスコミが取り上げやすい
・SNSの「いいね」のような情報の垂れ流しで済む
・出たがり行政トップも多い

というようなこともあるようです。


しかし「観光」について別の見方をすると、

「観光産業」の営業利益率は低い。
ややもすると最大のコストの一つである人件費が抑えられ「非正規」の温床となってしまうという課題が内在。

観光関連産業(宿泊、飲食、土産物店、タクシー等)経営は、
●「人いれ稼業」「人的労働集約産業」的要素が高く人件費を削りにくい
●施設・設備・装置産業であり設備投資負担が大きい
●耐用年数よりも早い更新投資が必要となりがち
繁閑の差が大きい
「待ち」の商売であり「お客さん」が来てくれないと始まらない。打って出ても「つけ刃」では飽きられる
●全国的にライバルが多く、リピーターを維持し新規客を増やす必要がある
●いわゆる「キラーコンテンツ」がない地域は飽きられる
などの課題もあります。

※「屋台」や「カプセルホテル」などは「人件費が少ない」「設備負担が少ない」と言った事情から儲かりやすいのも頷けると思います。


観光産業は、
・非正規とはいえ雇用が増えやすい
・入り込み客の増えた感が実感しやすい
等の特徴があるので取組みやすい行政テーマになりがちなため、(コストが税金の)行政トップや公務員さんが「観光に力を入れる」のはある意味止むを得ないかもしれません。

ただ、「観光に力を入れる」には、
設備・施設投資負担を応援する
省人力化を支援する
繁閑の差(極端に客が来る日と来ない日があること)を均す
宿泊を伴う長時間滞在観光客を招へいする(昼間だけの観光客の購買力は知れています)
と言った商売の根っこの部分に光を当てることも必要です。

また、企業側も、
●繁閑を利用して従業員の休暇取得などの労働条件の改善を行う
●従業員が非正規化しないように売上の平準化を目指す
●「泊食分離」(泊るところと食べるところの分業)「泊湯分離」などで投資リスクを分散する
などの工夫も必要ではないでしょうか。。。。

「観光」は「人がたくさん来るのでよい」「取り組みがしやすそう」と思われがちですが、「儲からなければ地域経済に貢献しない」のです。


今までは政府、行政が「アベノミクス」だ「地方創生」と注力してきたので、マスコミもあるいは経済人も批判することができませんでした。

よーく考えてみましょう。

「観光」は実は水商売だったのです。

奇しくも今流行の「新型コロナ」が商売の本質を教えてくれたのです。
インバウンド(外国人)だけでなく国内客も来なくなってしまったのです。
そして、「観光」商売の危うさは「新型コロナ」が終息した直後から顕在化するはずです。

クオリティが低く、行政頼みの観光地に客が戻るかどうか。。。。
今こそ「観光政策」の検証をすべきなのです。

儲からない商売なのに、税金から報酬をもらう政治家や行政マン(公務員)が注力し、補助金をばら撒くというビジネスモデルが長続きするはずはないのです。



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