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「借金は利益で返すもの」・・・あるエコノミストへの素朴の疑問 [銀行(員)と付き合う法]

週刊エコノミストという雑誌があります。その2012年11月27日号に、「エコノミスト賞受賞者が考える 日本経済 私の処方箋」という企画がありました。

あるエコノミストのご意見のようです。

「インフレ目標を採用し量的緩和を強化せよ」という表題のもと、「長期に続くデフレが、日本経済が停滞に陥っている最大の原因だ。」ということで、「日銀は2%のインフレを達成するためにあらゆる手段を講じるべきだ。」と訴えていらっしゃいます。

ただし、この部分には違和感があります。
引用させていただきましょう。。。

多くの人が所得を稼ぎ出す場所は企業である。その企業は物価が下がり続けると、利益を上げることが困難になる。その理由のひとつは、デフレ下では企業の名目売上高や名目資産価値は減少するが、企業の名目の借金額は変化しないことである。この場合には企業は今までよりも多くのものを売らなければ、借金を返せなくなる。これを借金の実質負担が重くなるという。その結果、企業の名目利益も減少する。


この部分を整理してみましょう。

1.企業は物価が下がり続けると利益を上げるのが困難になる。
2.デフレ下では、企業の名目売上高や資産価値は減少するが、借金の額は減らない。
3.そのため企業は今までよりも売り上げを増やさなければいけない。

というご主張のようです。


おそらく、このエコノミスト氏の勉強不足でしょう。

企業経営者や融資担当の銀行員なら、ほとんどの方がご理解されていると思いますが、

「企業の借金は利益で返す」のが大原則であり、利益が出ていないと借金は減りません。

資産処分により借金が減ることはありますが、これは借金を減らすために資産を減らしたにすぎません。

※サラリーマンの借金は、給料が増えるか、支出を削減しない限り返せません(念のため)。


かつてはよく言われました。

「銀行に家をとられた」と。。。。。

人聞きの悪い言葉ですが、

「借金が返せないので、担保にしていた社長の自宅を処分して借金を返した」

ということなのです。


「デフレで資産価値が減少して、担保価値が減った」という指摘は正しいのですが、資産を切り売りして借金を返そうというのは正常な企業活動でもありません。


要は、デフレであろうが、インフレであろうが、「利益が出ない」限りは借金は返せない!

ということなのです。


このエコノミスト誌の記事を見る限りでは、「デフレは利益が出にくく、インフレは利益が出やすい」とおっしゃっているようです。

インフレになれば、資材価格(材料費)や家賃等々のコストも上がってきます。
企業経営上のテーマは「デフレか、インフレか」ということよりも、「利益体質の企業」になるということのほうが優先課題なのです。



共同通信の配信記事に
地域内の金融機関の融資が預金の半分に満たない預貸率50%未満の都道府県がことし3月末時点で25道県に上り、10年前の6倍以上に増えたことが日銀の調査で24日、分かった。長引くデフレで各地の中小企業や個人の資金需要が低迷していることを示している。 日銀は金融緩和を強化しているが、金融機関は有望な貸出先を見いだせていない。

というのがあります。

平たく言えば、「金融機関は預金を集めても、貸し出しに回っていない」ということなのです。

銀行が貸さないのか、借り手がいないのか。。。。。。どちらなんでしょう。







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