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「第一生命」が保険業界を変えるかもしれない [保険の話]

「89歳の営業職員が19億円をだまし取ったかもしれない」と言う第一生命の不祥事。

コロナの感染蔓延で少し地味な取り扱いになっていますが、本当は保険業界に激震が走っているのかもしれません。


例えば、

①第一生命は株式会社なので、19億円の被害を弁償すれば「株主代表訴訟」が待っている可能性があること
つまり「社長の首すら飛びかねない」事態になっているかもしれません。


②ここ10年の保険業界は「コンプライアンス態勢」に注力し、内部研修を充実させてきました。
にも拘わらず「特別調査役」などと言う肩書が放置され顧客を信用させてしまったこと
つまり内部体制上の問題が露見してしまいました。


③「89歳と言う営業職員がいる」と言う不思議
つまり保険会社は、どの業界よりも「死亡」「病気」「平均余命」に詳しい業界です。
「89歳の営業職員が現場で動いている」と言う不思議に気が付かないはずがありません。


④保険業界には「優績職員」表彰制度と言うのがあり、その存在は社長も知りうるレベルのもの
つまり営業現場末端の一人の営業職員が引き起こした詐欺事件に見えますが、実は社長まで知りうる営業職員であったと思われます。
相互牽制、内部管理がどのように行われていたのか不思議で仕方がありません。


⑤保険会社と言うのは想像以上に社員(職員)の多い業界です。
例えば、
・日本生命 71,871名(うち営業職員52,356名)
・第一生命 56,151名(うち営業職員44,974名)
・明治安田生命 46,002名(うち営業職員35,072名)
と言う規模です。
つまり「ネットでも生命保険に入ることができる時代」にもかかわらずこんなに人が必要なのか?と思わずにはいられません。


⑥「生命保険」は定価販売が原則であり値引きは禁じられています。
しかも、保険料には経費や利益が最初から織り込んであります。
つまり、「これだけの人件費は保険料に織り込んである」と言うことであり、人が減れば保険料は下がる可能性があるということです。
さらには、「売値に経費と利益が織り込んであり値引きもない」と言うことですから、相応の資金運用ができ想定した死亡率の範囲であるなら「売れば売るほど儲かる」と言う商売です。


「お金」や「人の命」と言うナーバスな商売にもかかわらず、仕事の内容的にはかなりイージーな部分があったのではないかと想像してしまいます。
「戦後寡婦」対策として力が入れられた保険外務員制度ですが、「保険外務員の時間外勤務問題」をはじめ昨今の「コンプライアンス態勢」では業務の見直しがかなり図られつつありますが、まだまだ旧態依然とした部分も数多く残っているのかもしれません。


⑧個人向けの生命保険しか印象にない人も多いかもしれませんが、大口は「中小企業経営者向けの節税」手法による保険契約が多かったのも実情です。
つまり、保険会社と言う大組織は「中小企業の経営者」層に深く食い込んでいたことも否定できません。


⑨実際の手口はどのようなものかよくわかりませんが、領収証(預かり証)が手書きであったりと通常では考えられない事務手続きがなされていたようです。
つまり、落とし穴ははたくさんあったにも関わらず、保険外務員と顧客との関係が
・「お世話になった」
・「おつきあい」
・「ご縁がある」
と言った情緒的な部分にかなり乗っかっていたのではないかと言うことも否定できません。
東京、大阪、名古屋と言う大都市部ではなく地方都市で大きな不祥事が起きている点も管理不十分なところが見え隠れします。



保険会社大手は日本を代表する企業群です。
今回の不祥事は業界を揺るがす事案だと思います。
おそらく社長退任まで及ぶかもしれないような大きな不祥事であり、業界全体の変革が進むような気がします。


ところで、皆さんの周りで「生命保険」の死亡保険金をもらわれた人はいらっしゃいますか?
「保険に入っている」と言う人数に比べたらはるかに少ないのではないでしょうか?
長寿であればあるほど保険料負担が重くなり多くの人が途中で解約されることも多い商品です。
ほら「保険の見直しをしましょう」と今日も誰かが言っているはずです。

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