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「リスク」と向き合った銀行員生活 [銀行(員)と付き合う法]

今度の選挙の政権放送を聞いていたら「銀行員出身の候補者」がいて「中小企業を支援した」と言うようなお話をされていました。

この「中小企業支援」と言うのは胡散臭い言葉で採用面接などでは就活学生などから必ず出てくる言葉です。
現実は「微妙に違う」というのが実態です。


さてさて私の銀行員生活はと言えば、「リスク管理」「リスクと向き合う」と言うのが仕事の柱でした。

例えば、

1.融資の現場では

貸出ロスを出さないこと


2.人事の現場では

①不祥事を起こさない仕組みを作ること
②出来の悪い行員を減らすこと(人事異動で適材適所で仕事をしてもらう)
③優秀な学生さんを採用すること(採用してみなければわからないことも多いようです)
④コンプライアンスを徹底・浸透させること


3.証券投資の現場では

有価証券の保有ロスを避けること


4.支店経営の現場では

①貸出ロスを避ける
②不祥事を避ける
③苦情を避ける
④人材を育成する
⑤シンパのお客様を増やす


等々とそれはそれはストイックなものでした。
どこにも「イケイケどんどん」のような仕事はありませんでした。

また「支援」などした覚えもありません
経営のパートナー」の役割を果たしただけです。


政治家の中には「銀行員出身」と言う方もいらっしゃるようですが、実際にお話ししたりご経歴を確認すると「銀行員になり切っていない」「肩書は銀行員出身」と言う方が多いようです。
彼らの政治活動からは「金融の専門家的な言動」を覚えたこともありません。


かつて銀行員と言う職業が「ある意味嫌われ」「経営者層からは評価された」のは、
経営に向き合うにあたり「ブレーキをかけ」「押さえるべきポイントを突いた」からです。


調子よく「企業を支援する」などと言えるようなお仕事ではなかったのです。


銀行の商売と言うのは「それほど儲かるビジネス」ではありません。
5%の利率で預金を集めて8%の利率で貸しても「粗利益は3%」なのですから。
そこから貸出ロスの償却費用や高い給料や一等地の店舗維持費などを捻出しなければいけないのです。

だから「金額的・時間的ロスを減らす」「量で稼ぐ」「人材で稼ぐ」ことを徹底したのです。


サービス残業
無給の休日出勤
風呂敷残業
などと言う「ただ働き」もいとわない仕事人間がなんと多かったことでしょう。。。。
それでも「楽しい仕事」でした。
おそらく今の方なら続かないのではないでしょうか。


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