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「消費動向」で「景気」を語るな! [みんなうすうす気づいている]


新型コロナウィルスで大騒ぎの日本。
ご近所の奥様(と言っても彼女は若いお医者さん)から「消費も不振になってしまいますね」と。。。

先日、百貨店の売り上げ動向の発表があったようです。

令和2年1月 「東京地区百貨店売上高概況」( 日本百貨店協会 令和2年2月21日) を見ると、

売上は「前年同月比 -2.4%(店舗数調整後/4か月連続マイナス)」。

しかしながら、「平成31年1月の売上高増減率は-2.9% 」とも書いてあるので、趨勢的にはよくない状況が続いているということでしょう。

※西暦でないのでわかりにくいですね。

発表資料には、

暖冬の影響から、クリアランスセールを中心に防寒衣料や関連雑貨など(値がさの)冬物商材が不振
インバウンドは月前半好調推移した。
春節が本年は1月に 前倒ししたことから大きく伸ばした。
④下旬は新型コロナウイルスの影響で苦戦。
高額品(美・宝・貴/12.4%増/2か月連続)は時計・宝飾・美術などが好調。
食料品(0.8%増/3か月連続)は、各社の物産催事やバレンタインなどの食品企画が奏功し菓子、惣菜ともに3か月連続プラスと増勢。
衣料品(6.5%減/4か月連続)は冬物アイテムが不調。
⑧2月中間段階の商況は、新型コロナウイルス感染拡大により、インバウンドのみならず、 国内でも消費マインドの低下

というようなことが書いてあります。

たしかに、昨日(3月3日)発表の「消費者態度指数」でも、消費者心理は5か月ぶりに悪化していると。

※「消費者心理悪化” 5か月ぶり 新型コロナウイルス感染拡大で」(NHK 2020年3月3日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200303/k10012311761000.html


しかしながらよく考えなければいけません。
「消費税引上げ後の消費抑制」と言う地合いの中で「新型コロナウィルス」や「暖冬」は引き金になったにすぎず、そもそも「消費構造」が変わってきていて「消費動向」は「景気」上昇要因にはなっていないのかもしれないということを。。。。。


長期経済統計 四半期統計 実質GDP成長率とその寄与度」(内閣府)と言う資料を見ると、
実質GDP成長率に占める「消費」の寄与度はここのところ低いままです。
https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je16/h09_data09.html


つまり景気を牽引する「消費」に構造変化が起きているのではないかと思うのです。

そのポイントは、

第二次大戦直後は、戦後復興や高度経済成長やイノベーション(技術革新)による生活向上意欲の高まりに伴うモノ消費

消費を引っ張ってきたのは「団塊の世代」(1947年(昭和22年)~1949年(昭和24年)生まれ)が高齢化したこと(2020年での年齢は70〜73歳)

高齢者は「生活消費」が落ちることは間違いありません。
・食も細ることから食料費は減ります
・職場の第一線からリタイアすると「正装」や「交際飲食」が減ります
・「住宅」ローンはないが、新たな設備投資は減ります
・車も買わなくなります

「ユニクロ」に代表されるように衣料品などの価格がずいぶん下がりました。品質は担保されていますから数量効果が出てきません。「サイゼリア」に代表されるように飲食も安くていいものが増えました。

住宅ローンは消費の先食い効果があります。最近の住宅ローンの多額化を踏まえると、低金利であっても「生活消費」に回す余裕は減ってきます。

「断捨離」「終活」の風潮も無視できません。「無駄なものは買わない」と。

「企業消費」の動向も踏まえないといけません。
・倫理規定の浸透は接待・贈答文化を縮小させました
・企業の経営テーマの一つは相変わらず「経費節減」です

⑧ちなみに「インバウンド」は水商売で「消費税」も入ってきません
・免税店での買い物が増えるだけです

⑨少しお金ができると「海外消費」「海外旅行」にお金が向けられてしまいます

こんな「消費構造」の変化を踏まえながら景気を見ていかないといつまでもミスリードしてしまいます。


昭和60年ごろの円高不況当時は、エコノミストの多くが「消費構造分析」を行っていましたが、今のマスコミチックなエコノミストは「足元の要因」だけで景気を語る人が増えたようです。
短期的な変動を繰り返す「株価」などのマーケットを意識したエコノミストが増えたことも一因かもしれません。


よーく考えてみましょう。
日本の国家予算は100兆円を超えています。
にもかかわらず「お金が回らないのはなぜか」「100兆円はどこに行ったのか?」ということを。


「売上」の裏返しは「消費」です。
「売ったものは誰かが買っている」ということを考えなければいけません。
そして、売上=単価×個数 なのです。
単価が低ければ個数を増やす」と言うことが必要です。


どんなに労働者の給料が上がっても、労働者の数が減ってはいないか
つまり人口の多い高齢者は所得が減っているのです。

「人手不足」と言われる日本社会ですが、「給料の安い(所得の低い)」部分で人手不足が起きていないかも考えないといけません。


「給料の安い(所得の低い)」職業と言えば「サービス業」です。
にもかかわらず、「起業」とか「地方創生」にはサービス業が多いようです。

ただ、サービス業の典型でもある「公務員」さんの待遇はずいぶんよくなっています。
こういうことも「格差が広がる」原因にもなっているかもしれません。


「景気」や「消費」に一喜一憂する前に今の日本に必要な「産業構造」「就業構造」そして「所得構造」を分析し「政治の分野」に提唱することも必要なのです。


今の日本経済は「サービス業」が多すぎで、冷たい風が吹くと「補助金」「助成金」のオンパレードです。

税金は上がっても構造改善がないままでは景気は良くならないでしょう。

「税率を上げなくても税収が増える」国家経済でなければいけないのです。










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