「アベノミクス」がパッとしないわけ [少し政治的な話を。。。。]
マスコミやSNSは「岸田首相」批判が中心の昨今ですが、忘れてはいけないのは「アベノミクスはうまくいったのか?」と言うこと。
安倍首相、菅官房長官と言うコンビが9年にもわたって唱え続けた「アベノミクス」。
もしうまく行っているのならもう少し景気のいい話が聞こえてくるはずです。
「コロナが邪魔をした」
などと弁明する人がいたとしたら「コロナ前から好結果が出ていないでしょ」と言うしかありません。
マスコミもSNSもなぜか「触れようとしない」「検証しようとしない」のが「安倍菅の9年」であるにもかかわらずいまだに「おとなしの構え」です。
そこの整理をしないまま岸田首相の言動への批判ばかりやっているから建設的な批判が何一つないのです。
「統一教会然り」
結局どうなってしまうのでしょう。
安倍菅の9年でぬくぬくと育ってしまったのが統一教会だったはずです。
話を戻しましょう。
明らかに「経済政策としてのアベノミクスはうまくいっていない」のです。
原因はいろいろあります。
1つ目は、「言葉の遊びに過ぎない」からです。
これは説明不要です。
2つ目は、「物価を上げる」と言うことが目標の経済政策だったからです。
景気の地合いが悪い中で「物価を上げる」ことを目指しても達成できるはずはありません。
そもそも、
●経済成長率
●物価上昇率
●金利
はニアリーイコールなものです。
このバランスが悪いと
・インフレ
であったり
・スタグフレーション
になるだけのコトです。
産業政策がひ弱なアベノミクスがおかしいのは自明でしょう。
●経済成長率
●物価上昇率
●金利
はほぼほぼ同じものを別の切り口で分析するようなものです。
「経済も成長せず」「金利も上がらない」にもかかわらず「物価だけが高くなる」ことがそもそもおかしいのです。
現にロシアのウクライナ侵攻に伴う「コストプッシュインフレ」(資源価格の上昇)には手も足も出ません。
アベノミクスが正しいのであれば
・金利が上がる
・経済が成長する
ことが追随してくるはずです。
3つ目は、「成長しない経済政策では1億人の人口を養うことはできない」と言うこと。
人の欲求は日毎に上昇していきます。
「物価が上がる」のではなく「経済が成長」しなければその欲求にこたえるのは無理です。
●地方創生 ~ 大人のママゴトのためのバラマキ
●飲食・サービス ~ 利益率が低い
●観光 ~ 非正規雇用、不規則な働き方の温床
では日本経済の成長には限界があります。
現場を見ればこの3つを日本経済のエンジンにしようなんて虫が良すぎます。
結果
①非正規雇用の定着
②地方の低迷
が続きました。
それがアベノミクスなのです。
4つ目は、「為替」や「株価」を気にされる方が多いがそれはわかりやすいからにほかならならいことです。
いちばん気にしなければいけないのは、
「儲け」(利益)
だったのです。
国税庁の令和2年度の標本調査結果によれば
「全法人に占める欠損法人の割合は、62.3%(前年度比+0.7ポイント)」
でした。
https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/kaishahyohon2020.pdf
節税の効果もありますが
「37.7%しか黒字企業はない = 法人税を払う企業は4割程度」
と言うくらい儲かっていないのです。
最近、「法人税の増税は景気を冷やす」などとおっしゃる方もあるようですが、そもそも法人税を払っていない企業は法人税率引き上げなど無関係のはずです。
誰も触れようとしませんが、
法人税増税 は「景気を底上げ」する
と言っても過言ではありません。
特に非上場企業においては
●節税(支払い税金を減らす)
●利益を先送る
行動が意識されるため
黒字企業にあっては、
●償却資産(機械・設備)の投資
●消耗品の購入
●賃上げ(特に賞与増)
をなどの節税を行う契機となるはずです。
また、他方では、
●イノベーション
●付加価値をつける
●売り上げを増やす
●コストを下げる
等々の経営政策が生まれるのです。
こう考えると「アベノミクス」はただの呪文に過ぎなかったのです。
5つ目は、世の中の論者は「中小企業=ものづくり」をイメージしてお話しされるが、日本には飲食・サービスと言った利益率の低いビジネスが多いのも実情です。
マスコミはこぞって利益率の低いビジネスを話題にしてきました。
グルメだとか言いながら。。。。
アベノミクスや地方創生は「バラマキありき」であり国際競争力ある「産業政策」がない以上多くの日本の企業は儲からなかったのです。
儲かった企業も「法人税率が低い」ため、「法人税を払って内部留保を蓄えた(自己資本比率を改善させた)」のです。
もし「法人税率が高ければこんな悠長な経営ぶりはなかった」はずです。
くれぐれも言っておかなければ「赤字企業は税率の高低にかかわらず法人税は払わない(除く均等割部分)」ということのはずですから。
6つ目は、経済活動の真ん中にいらっしゃる方には 「物価上昇 ≒ 経済成長 ≒ 金利上昇」 がバランスある好循環なら恩恵は大きいということ。
ただし年金生活者はその恩恵に預かるのは一番最後と言うことも付け加えておきましょう。
輸出立国の日本では国際競争力がなければ経済は成長しないということが忘れられています。
7つ目は、長寿化を伴う高齢化社会は ●従来の「量消費」は減る ●行財政の支援が必要な「人サービス」が増える と言うことです。
ここを踏まえずにやってきたのが「アベノミクス」 であり「安倍菅の9年」さらには「大人のママゴトでしかない地方創生」もそうでした。
だから 今「利益なき増税」 が必要となのです。
利益の生まれる企業には「税金を払わない(減らす)」ために「利益を先送る」経営政策であり「足元経費を使い将来に活かす」経営なのです。
8つ目は、「消費で経済を回す」とおっしゃる方が多いようですが、消費の中には「企業消費」※と言うのも大きなファクターです。
※必ず領収書をもらう買い物
法人税率を高くして企業に節税のために「経費(お金)を使ってもらう」のも経済対策です。
1999年に制定された「国家公務員倫理規程」は「企業のお金の使い方を変えた」と言うことに触れる方が少なすぎるということです。
いわゆる「倫理規程」により「接待」「贈答」と言う典型的な「企業消費が大きく減った」のです。
ここを境に、
●デパートの外商部門の役割が変わる
●「中元歳暮」の位置づけが変わる
●「料亭」の使い方が変わる
と言う大きな消費構造の変化をもたらしたのです。
「消費で経済を回す」
などと言う発想がどこから出てくるのか不思議でなりません。
9つ目は、日本の「高齢長寿化」も消費構造に大きな変化をもたらしたということです。
長寿化を伴う高齢化社会は
●従来の「量消費」は減る
●行財政の支援が必要な「人サービス」が増える
と言うことが現象面で起きてしまいます。
ここを踏まえずにやってきたのが「アベノミクス」であり「安倍菅の9年」と大人のママゴトでしかない「地方創生」だったのです。
10番目は、「観光」「インバウンド」と言う儲からないビジネスに注力してしまったことです。
観光政策は「税金で外国人観光客を買った」と言っても過言ではありません。
そうでなければインバウンドの増加とともに日本は経済成長を遂げていたはずですから。
今回「全国旅行支援」を使って12泊の旅をしましたが、「設備投資」「リニューアル」などをやっていない観光施設がいかに多いかと言うことです。
つまり「汚い」「古い」施設が多く、早晩、こういう施設は淘汰されていくでしょう。
今の日本のマスコミやSNSは「政治の仕振り」「政治家の言動」の上げ足取りのようなことにばかり注力していますが、それは「政治家の資質」「選挙制度の見直し」「議員数の削減」と言った具体策で解決することです。
「経済政策を疎かにする」
とは別問題です。
今のような政治家の「精神論」や「あるべき論」と経済をはじめとした政策をごちゃごちゃに論じてしまうからの日本は豊かにならないのです。
「不法行為者が政治家になってもいいのか?」
と言う机上の議論と
「汗水流して働く現場」
の議論が混在したままでは経済は成長せず、景気も良くなりません。
もっと言えば「格差が拡大」するだけです。