「サービス過剰」と「倒産の減少」も「人手不足」の原因の一因 [みんなうすうす気づいている]
ここ最近は、何かにつけて「人手不足」「労働力不足」という話が前面に出てきます。
私はこの「人手不足」という話がどうもよくわかりません。
(データで分析するわけではないので、あくまでもアバウトな雑感であることをお許しください。)
例えば、
1.少子高齢化
・・・これは統計的にも正しいでしょう
2.人口減少
・・・人口の多かった高齢者世代が亡くなり、生まれてくる子供が死亡人口よりも少ないのですから人口は減っていくはずです。特に日本人口に限って言えば。
3.人手不足の現場はどこなのか?
・・・総論で誰もが「人手不足」とおっしゃいますが、具体的にはどういう職業や職種で人が足りていないのでしょうか?
●建設現場などを見れば、かなりの部分が人手から重機に変わっています。
●「大手銀行」は万人単位で従業員を減らしています。この人たちはどこに言っているのでしょうか?
●「銀行」に続き、「証券会社」も店舗削減に動き始めました。おそらく早晩「保険会社」も人員削減を行うはずです。
※野村「猛烈営業」転機に 店舗2割削減など発表(2019/4/4 日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43341360U9A400C1EE9000/
ITやネットに移行している職場は人出が減ってきているはずです。
●大手の工場も、海外に工場を移転したり、機械化やIT化が進み人手はずいぶん減ったはずです。
他方で、
1.大学進学率の上昇
・・・現場作業の働き手を減らしている可能性があります。
2.新しいサービス業の誕生
・・・「介護」事業などが典型です。
3.過剰サービスとスピード化
・・・「宅配便」が顕著ですが、「早く着く」「毎日配達」というのが当たり前になりました。
また「コンシェルジェ」などと呼ぶ案内係のような職種も各業界に生まれました。
4.倒産の減少
・・・倒産は負の側面ばかりを見がちですが、倒産企業の従業員さんが移動し人手不足の緩和になっていたという側面もあります。
ひょっとしたら、本来は「倒産した方が幸せ」という企業までもが人手不足の一因になっている可能性もあります。
5.労働法規の厳格化と労働条件の改善
・・・「残業」が減り、「休憩時間」が増え「休暇」も増えました。仕事の手順やサービスの質やスピードが変わらないとすれば「人手」はおのずと足りなくなってしまいます。
6.「団塊の世代」の労働市場からの卒業
・・・仕事の「いろは」を自ら作ってきた「団塊の世代」(1947年(昭和22年)~1949年(昭和24年生まれ)の人材が職場から去っていきました。今は「団塊の世代」のみならず比較的人口の多い「昭和30年代半ば生まれ」の労働力も職場を去ろうとしています。
などなど「人手が足りなくなってしまう」要因もあるはずです。
これらの正否や是非は別として、もう少し「人手不足事情」を分析する必要があります。
こういう事情がはっきりしないまま「人手不足」を言い続けていることそのものが日本社会のミスリードを生んでしまうような気がします。
今、コンビニの「人手不足」「深夜労働の削減」の話題がマスコミで報じられるようになりました。
このように見てくると、
「人手不足」の解決策の中には、
●「人手が不足している」職種、職業を明確にする
●「人手不足の一因」である過剰品質を見直す
●労働条件改善のために価格引き上げを行う
~値上げしたら前に進まないビジネスは撤退してもらうという極論も必要です
●政治家、行政の現場の人員チェックをやりましょう
~人口減、人手不足にもかかわらず「公的部門」に人が集中していないか検証する意義はあります。
●利益率の低い「観光」ビジネス注力でいいのか?
~今の観光政策は「行政ビジネス」の一環になってしまっている部分も人手不足に拍車をかけているところがあります。
論点はそれますが「総理大臣が観光地を訪ねる」時と「一般人が観光地を訪ねる」時では関係する人員の数が違うということも念頭に入れて下さい。行政ビジネスは人手を食うという実情もありそうです。
さてさて、マスコミの皆さんはどう評価・分析なさいますでしょうか?
オオカミのように「人手不足」と騒いでいても問題は解決しないはずです。
解決策が「高齢者の労働参加」と「外国人労働者」というだけでは何か寂しくないでしょうか?