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「観光戦略」を見直そう [新型コロナ]

ある県の「観光戦術」がニュースになっていました。

北京オリンピックの開催にあわせて、〇〇県は、中国の若者向けのSNSにアカウントを開設するなど、中国向けの観光PRを強化しています。
アカウントを開設したのは、旅行やファッションなどの情報が充実しているとして、中国の若者に支持が高いSNSです。
というものです。


世界中がコロナに見舞われ、出入国もままならない中、今まで通りの観光戦術でいいのでしょうか?
そもそも観光戦略の見直しはなさらないのでしょうか?

コロナで「観光」がストップ同然の今こそ
コロナ以前の観光政策がうまく行ったのかどうかの検証と課題
新しい観光政策の立案
をやるべきではないでしょうか?

私はコロナ前に全国各地を旅しましたが、
かの国の団体旅行者頼みの地域は
他の人(特に日本人)が行きにくい
お金が落ちているかどうかよくわからない(経済効果は限定的)
そこにはリピートしたくない
というのが率直な感想です。

私の場合は、
①ほとんどが車
②よく行くところ以外は高速道路を使わない
③車中泊も辞さなかったので、ホテル・旅館は当日予約
という旅でした。

かの国の団体客が多い所はゆっくりと楽しめない」というのが最大の思い出であり感想です。


その他に主な感想を言うと

1.トイレの汚い所は不愉快

これは宿泊施設だけでなく、「道の駅」や「その他の観光施設」にも共通に言えることです


2.コンテンツが磨かれていないところは面白みがない

今は日本全国観光地化してきました。(ドラえもん状態です)
「名所・旧跡」「食」「宿泊」「佇まい」と言った観光コンテンツなどお構いなしのところも相応にあります。
のぼり旗が立っていれば観光地」ということでは興味がわくはずがありません。


3.知事(や市区町村長)の名前が思い浮かぶ地域は面白くない

こういうところは「自画自賛」そのものです。
SNSもご当地発信のものは物足りないものが多いようです。
そこにはスートリーも感動もないからです。
そういう行政サイドのニーズを受けたテレビなどのメディアの紹介番組も胡散臭さがつきまといます。
「あそこはたいしたところじゃないですよ」
「あれってそんなにおいしくないですよ」
などとマスメディアが言うはずがありません。


4.「歴史」「地理」「地学」「人の暮らし」の一つでも深堀できるものがないと飽きてくる

ブラタモリ」というNHKの番組がおもしろいのは、進行役のタモリさんの博学と当意即妙なトークがあるから面白いのです。
その切り口は「歴史」「地理」「地学」「人の暮らし」そのもです。


5.「有機的なつながり」が必要

今の海外旅行ツアーがどんな組み立てになっているのかよくわかりませんが、かつては「パリ~ローマ」とか「パリ~ロンドン」といった具合に(国をまたぐような)複数の観光地を訪ねるツアーが多かったように記憶しています。

つまり「〇〇県においでよ」だけでは興味が広がりません。
例えば東京旅行の方でも箱根(神奈川県)や日光(栃木県)などに足を延ばされる方が今でも多いはずです。
周辺地域と交通至便なルートで「つながる」ことも必要です。


6.「地方空港」を活性化しようという目的では経済効果も限定的

このニュースにはこんなことも付言されていました。
「コロナ禍のため運休となった☓☓と上海を結ぶ定期便を運航する中国の航空会社と連携して、上海市内の商業施設などに観光PRの電子広告を出すほか、この航空会社の機内誌に3月、〇〇県の観光情報を掲載することにしています。」
と。
これでは「観光」というのは名ばかりで「ローカル空港の活性化」に主眼があるように見えてしまいます。

札幌、成田、羽田、中部、関西、福岡などの国際空港を拠点に「鉄道」あるいは「バス」などの輸送手段でその地域にお客を呼び込んだ方が経済効果やリピーターの広がりがあるのではないでしょうか。


7.その土地を訪ねた「シーン」が思い浮かぶか

自画自賛型」観光地の広報(宣伝)には
「そこに行きたい」
「その土地を訪ねたシーンが浮かぶ」
という点への熱い思いがないことです。

「ここはいい所だから来い」と言っているようなものです。
それでは「そんな難しいことは考えない」という人しか来なくなってしまいます。


8.「五感」をくすぐるか

五感とは、「視覚」「聴覚」「触覚」「味覚」「嗅覚」のことです。
知らず知らずのうちにこの五感のどれかにインパクトを覚えるものがあるはずです。
そういう観光地は何度行っても楽しいものです。
また、「他の人を誘いやすく」なります。
「インスタ映え」「ばえる」というものもこの五感のなせる業の一つです。

若い頃、慶応大学の井原哲夫教授(今は名誉教授)の話を何度か聞いたことがあります。
彼曰く「消費をけん引するのは五感」だと。
当時はよくわからなかったのですが、年齢とともにわかるようになってきました。



旅する方々がこんなことを考えているとも思いませんが、結局、その人にとって魅力ある観光地とはこういうことが切り口なっているのでしょう。


行政主導の観光政策が「イマイチ」なのは「何かやれば補助金がもらえる」という発想が見え隠れしてているからです。
だから成功しないのです。
だから続かないのです。

知事などの行政トップがやらなければいけないのは「気の利いた環境整備」です。
道路整備や交通網の整備などはその地域で暮らす方々の生活ぶりにも恩恵があるものです。
そこが抜け落ちた観光政策など「行政トップのスタンドプレー」あるいは「やっている感」しか伝わってきません。

かくして「種は撒くけど花が咲いたのを見たことがない」という行政トップが生まれてしまうのです。


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