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ある大病院の入院患者の「薬の誤飲」の話 [どう受け止めたらいいのか]

それなりに著名な大病院での出来事です。
看護師さんの話によれば、
●ある入院患者が2日続けて薬を誤飲してしまった。
●その患者は認知症ではない
ということ。

さて、これだけの情報でどうお感じになりましたか?
病院で処方された薬というのは「飲まなくてもダメ」「飲み過ぎると危険」という大きな問題があります。

少し事実関係を詳説すると、

①この患者の薬は1回あたり最大10数個服用し、薬はタイミングごとに異なる。
②毎日「朝食後」「昼食後」「夕食後」「就寝時」と4回に分けて飲む
③この病院では、服用の都度患者さんが飲んだ薬のカラの数で管理している
1回目の誤飲は、
「夕食後」の確認時、同じ薬のカラが2個あった
ことから飲み過ぎが発覚(飲んだかどうかは不明)
2回目の誤飲は、
「朝食後」分と「夕食後」分を勘違いして飲み間違えた(朝食後と夕食後では飲む薬が違う)

ということのようです。


ここまでで何か不可解なことはありませんか?

そうなんです。「1回目の誤飲」と「2回目の誤飲」の共通点は、
飲んだ後の事後チェックだけで、飲む前の事前チェックがない
ということです。


さらに事実を付け加えると、
1回目の誤飲の後、毎日の「朝食後」「昼食後」「夕食後」「就寝前」の4回分をそれぞれ小さな箱に入れて並べておきベッドの脇に置くように患者さんに指示をした
ということがあります。

つまり、「朝」「昼」「夕」「就寝前」と並べてテープで箱をくっつけて置いてあったのです。
どの箱にも飲むタイミングでの服薬分の薬が入っていたのです。

そして、2回目の間違いが起きたのは「夕食後」の服薬時です。
「朝食後」からスタートすれば左端の箱から服用していたものを、患者さんが「夕食後」にもかかわらずうっかり一番左端の箱の薬を服用してしまったのです。
結果、病院では大騒ぎになってしまったということです。

ここまでで何か疑問とかご意見はありますか?
「患者がバカ」と言えばそれまでですが、「うっかり」では笑えない間違いです。


私なりに課題を整理しました。

1.1回目の薬のカラ問題
・飲んだのか飲んでないかが確認されていない
・たまたまカラだけが1個余分にあったということも考えられる

2.どうして「飲む前」に確認できなかったのか
・この病院では、患者任せで「まさか間違いは起きないだろう」が前提で事後の「カラ管理」になっていること

3.なぜ「向こう4回分」の薬を準備させたのか
・結果から見れば「間違いのもとを増やした」だけ
・この「向う4回分」の薬を小箱に分けるルールはいつ、だれが考えたかわからない歴史伝統的なもの
箱をひっくり返した時の再チェックの問題、何かの事情で準備していた薬の数や種類に間違いがあったらどうするのか

という素朴な疑問が湧いてきます。


ここまでの情報で言えるのは、
この病院では
患者さんに正しく薬を飲んでもらう
薬の誤飲によるリスクが想定されていない
ということ。


立派なナースステーションがあり、優秀な看護師さんがいても、「その動作は何のため」「その確認はなぜ」というコンセプトがありません。

薬を「朝食後」「昼食後」「夕食後」「就寝前」と4区分させるのはなぜ?
・・・考えたこともない様子
この方法の中にあるリスクとメリットは何?
・・・考えたこともない様子
この方法はいつごろから実施されているのか?
・・・知っている人がいない様子
と素朴に質問してみました。


「人命」というとても大切なことに毎日接している看護師さんたちの落とし穴を見たようでした。

多くの工場や現場に
安全第一
整理整頓
という標語がかかっている理由はお分かりだと思います。

病院の中でも「安全第一」と「整理整頓」は当たり前すぎることのはずです。
しかしこの看護師さんから聞いた話は、「安全第一」「整理整頓」という言葉の外側に日常の行動があるような気がします。


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