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「戦略」と「戦術」の違い [裏づけのない経営学]

日本語の中にもその違いがよくわからない言葉があります。
例えば「戦略」と「戦術」。
経営トップやマスコミやインテリの解説を聞いてもいまだによくわかりません。

ある時「戦略」と言い、ある時は「戦術」という人もいるようです。
また「そのゴールは結局何ですか?」ということが見えないこともあります。

私にはその違いがいまだにさっぱりわかりませんが、今回のロシアのウクライナ侵攻をなぞらえてみるとなんとなくわかってきたような気がします。

ロシアのプーチン大統領は、

1.ゴール(目的)

「旧ソビエト」の再建または分離した国々のロシア寄りの国家づくりをゴールとしているのではないでしょうか?


2.戦略(目的達成のための方策)

「近接するウクライナをまずロシア化する」ことが今回のウクライナ侵攻だったのでしょう。

「NATO(北大西洋条約機構)の東方拡大に歯止めをかける」と言っていますがNATOが「侵略を前提」にしてるなどとも思えません


3.戦術(戦略遂行の技術論、方法論)

「ウクライナのロシア化」のためには

①武力攻撃(報復という名前の戦闘)のための理屈づくり
・ウクライナ東部のロシア系の人たちがウクライナから攻撃あるいは弾圧されている
・ウクライナは核兵器を作っている
などという情報を国際世論に訴えようとしました

②ウクライナ東部2州の独立承認
矮小的に考えるのならここで終わりでよかったはずです。
ところがロシアは首都キエフやウクライナの西部地区まで攻撃・侵攻しています

③地上戦だけではなくミサイル攻撃の実施あるいは「核兵器の使用」という威嚇
ここまで来たら「ウクライナを亡きものにしよう」ということが見て取れます。
こういう攻撃や威嚇を通じてウクライナのゼレンスキー大統領の失脚・傀儡政権の樹立まで目指すものなのでしょう

しかし、これらの戦術(作戦)は
ある日突然武力侵攻が始まる
どこまでやるの状態
ということになってしまいました。


つまり「ウクライナのロシア化」のためには手段を選ばないという「粗い戦術」です。



こんな風に考えていたら、日本の「地方創生」はなぜ成功しないのか?ということがわかってきた感じがします。

おそらく、

1.ゴール

地方の活性化
結果としての東京一極集中の排除
ということだったのでしょう。

ところが、

2.戦略

とにかく地方に産業を興し「人を呼び込む」「お金を呼び込む」ということだったのでしょう。
余りにも抽象的です。

具体的に「何をやる」「どうやる」がよくわかりません

そこで、

3.戦術

お金をバラまくので産業を興しなさい

結果、有象無象の胡散臭い「ビジネスもどきが地方に集まり」あるいは「ビジネスもどきを立ち上げよう」としたのです。
しかし「金の切れ目が縁の切れ目」と言うのか「成功のめどが立たないまま消滅」というような事例も見受けられます。
また、「非正規労働」が中心となってしまったため「働き手」もほどなくいなくなってしまいました。


「観光」「インバウンド」で地方に人を呼びましょう

結果、日本の各所に「観光地宣言」的な「のぼり旗」が林立することになってしまったのです。

かくして選挙の時にも「地方創生」という言葉がメインに出なくなってしまったのです。



なんとなくおわかりでしょう。

1.明確な「ゴール」(目的、目標)があって

2.その目標を達成するための各論あるいはステップに細分化された「戦略」が生まれ

3.具体的な方法論、技術論という「戦術」に落とし込まれる

という流れが。


「ロシアのウクライナ侵攻」も「地方創生」も

1.ゴールはわかる

2.戦略は抽象的で「なぜそれなの?」がよくわかりません

3.そして方法論や技術論と言った「戦術」「戦法」があまりにもアバウトです

「種を撒く」ことは目的達成のためには必要でしょうが、
プーチン大統領の場合は火種を撒き
「地方創生」の場合は、どんな花が咲くのかわからないまま短時日で開花させようとした
という歪みが見えてきます。



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