SSブログ

「景気」と「自殺率」の関係の見方 [新型コロナ]

「景気が悪いと自殺者が増える」
新型コロナウィルスの対応について何人かのコメンテーター氏がおっしゃる言葉です。
たしかに1990年から見ると、「完全失業率」と「自殺者数」には連動性があるように見えます。


ただ、「命」を議論するのですから、慎重にかつ多面的に見ていく必要があります。

例えば、

1.1990年以前も同じことが言えるのか?
・1990年と言うのは平成2年のことですから、いわゆる「バブル崩壊」以前ということになります。「石油ショック」「構造不況」等々の不況の時はどうだったのかも語る必要があります。

2.自殺者数の「男女別」、「年代別」、「地域別」、「有職・無職」の別の分析も必要。
・1990年頃から大学進学率が高まります。学歴に応じた仕事の希望の仕方などは関係しないのでしょうか?
・進学率の上昇は「ホワイトカラー」化も高めました。結果、つぶしの利かない「手に職がない」人が増えたということもあります。
・また「終身雇用制」で「大学出たら自動出世」のよう仕組みであった企業社会にも「成果主義」に基づく評価が強くなりました。

3.「産業構造」の変化は言わなくてもいいのか?
・「産業別就業者」割合は1980年頃から第三次産業が50%を越えました。
「農業」「工業」などのいわゆる「ものづくり」人口が大幅に減ったのもこの時期です。「手に職がない」とちょっとした景気変動では失業のリスクが高いような気がします。
サービス業シフトの産業構造を語ることも必要です。

4.「雇用形態」の変化はどうか?
正規雇用者数は、90年代半ばまで緩やかに推移したのち、97年以降は、ほぼ一貫して減少を続けており、2005年には3,300万人程度となっている。一方、非正規雇用者数は、94年に前年より減少した後、95年に1,000万人を超え、2005年には1,600万人程度となった。役員を除く全雇用者に占める非正規雇用者の比率でみると、90年から雇用者の2割程度で推移していた後、90年代後半以降、上昇し続け、2005年には雇用者数の約3人に一人が非正規雇用者となっている。
(平成18年(2006年)度「経済白書」)
とあるように、非正規労働者が増えています

5.所得の高低による地方や地域の別はあるのか?
「一人当たりの県民所得」の低い地域と言うのがあります。
「完全失業率」の地域的な分散具合を見ながら「自殺者数」を語る必要もあります。
例えば、景気の影響で「失業率が激変」した地域に自殺が顕著なのか?などの分析が欲しいところです。
結果次第では「都会の人を地方に移す」きっかけにもなります。「地方は人が少ないから移住してほしい」という話しが「地方は景気変化の弾性値が低い(影響を受けにくい)ので住みやすい」と言った話に変えることができます。



私の職場生活を通じて言えるのは、
●高卒者の採用が減った(高学歴化)
●中途退職者(転職者)が増えた
●「職場うつ」が増えた
●機械に置き換わった職種が増えた
●残業が減った(「週休二日」になり、かつ「残業」も「持ち帰り」も「休日出勤」も減りました)
●休暇取得が増えた
●必要とされる「資格取得」が増えた
●「行動管理」が増えた
等々、かつての「厳しい中にもおおらかな」職場風景が大きく変わりました。

「景気」と「自殺率」にどういう因果関係があるのかよくわかりませんが、今回の「新型コロナ」が引き金を引く可能性が高い結果、つまり、丁寧な分析をして「死を選ぶしか居場所のない」人を探し出す必要もあります。


ただ、気をつけなければいけないのは、国民の「命」にもかかわるという状況の中で「経済」「景気」を大まかに問題視することでは救われる人も救われなくなってしまいます

「経済がたいへんになると自殺者が増える」と言うのなら、「働いている人」をよく見て救済策を考える必要があります。

そして、「新型コロナ」騒動が終わった時には、雇用問題の構造的な課題を改善するようなリスタートができるような「経済支援」が必要ではないでしょうか!

そういう視点で見れば、「地方創生」「ふるさと納税」「東京一極集中の緩和」「男女共同参画」「働き方改革」のような政策も有効性を持ってくるのではないでしょうか!


「国民一律10万円という現金給付を急ぐ必要があったのか?」
どうも気になります。


nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事