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読売新聞の「感染症に強い社会」提言をどう読む [新型コロナ]

「拙速でもいいから早くやれ」
かつての私の上司がよく言っていた言葉です。
こうなると「出来がよくないが仕事が早いやつ」が評価されることになってしまいます。

私はこの考え方は嫌いでした。
したがって部下には、スケルトンチェックを何度もし、骨組みを共有化したうえで肉付けをする手法を取りました。
「とりかかる前」に簡単な打ち合わせを行い、ボリュームを見ながら中間地点でも打ち合わせをするというやり方です。
結果的には、「速い仕上がり」「クオリティが高い」「決裁の抑え所がよくわかる」ということで部下にも支持されたようです。


昨日(2020.6.22)の読売新聞朝刊トップをみて少し驚きました。
「まぁ!お早いこと」と。

「感染症に強い社会築け」
と題する「提言」です。

トップページに書いてある「提言」は7項目からなり、

1.感染症対策不在から脱せよ
~PCR検査能力を1日10万件に

2.「コロナ不況」脱却に全力を
~資本注入ためらわず大胆に

3.首相直属の本部を設けよ
~感染防止と経済再生を両立

4.国は地方任せにするな
~国による手厚い財政支援

5.休校でも学習機会の確保を
~オンライン環境の普及を急げ

6.国際協調の機運を取り戻せ
~WHO改革 日本が主導を

7.コロナ差別を許さない風潮を
~啓発活動や救済制度の充実を

というものです。

社説」を補足的に読むと
新型コロナウィルスの感染拡大は、日本の政治、経済、社会の脆弱性を直撃した。国の総力を挙げて、生活に安心を取り戻さなければならない。
医療体制から行政執行のあり方まで、半年に迫るコロナ禍で浮き彫りになった課題を総点検し、それを教訓に体制を構築する必要がある。
と言うようなことが書いてあります。


本紙中に整理してある「提言」を再確認すると、

1.危機に強い医療体制築け
・病床確保計画 早急に
・検査拡充 不安を解消
・受入れ病院 報酬手厚く
・保健所の立て直し急げ
・医療物資 輸入依存は危険
・治療薬「国産」後押し

2.「コロナ不況」脱却へ大胆な財政・金融政策
・働き方 デジタル化で変革
・中小企業の資本強化
・予備費 機動的に支出
・マイナンバー 口座連結

3.内閣主導で感染症対策の司令塔を
・担当相を常設、体制充実
・経済・教育からも人材起用
・「未知の疾病」柔軟に定義

4.国主導で地方との連携を深めよ
・緊急事態に備え 協議枠組み
・都、情報吸い上げに課題

5.休校でも学習機会の確保を
・出題範囲 履修に応じて
・学びの格差 「遠隔」で解消
・教員のICT能力向上

6.国際協調の機運取り戻せ
・WHO改革 日本主導で

7.コロナ差別なくす意識共有を
・医療従事者を支援


かなりの紙面を割いての提言ですから「読売新聞」の力の入れようが伝わってきます。
ただ、
知っていることを全部書こうとした
現状分析が正しいのかの吟味がない
優先順位(時間軸に対して急ぐあるいは実現可能なテーマ)の区別がない
主語(誰がそれをやるのか)がよくわからない
何よりもトップページと本紙中の提言の言葉が違う
ということに目が行ってしまいます。


もう少し、現状分析を丁寧に公表・分析して、その結果として「提言」に集約化していかないと「拙速」あるいは「結局読まれない」と言う結果になりそうな気がしてしまいます。

本日からの紙面づくりが楽しみになってきました。

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