「官庁エコノミスト」は何処へ [どう受け止めたらいいのか]
「大蔵省の人は『景気がいい』と言いたがらない」
かつて昭和の時代に「官庁エコノミスト」の知人から聞いた話です。
「官庁エコノミストってなに?」
「どうして大蔵省は『景気がいい』と言いたがらないのか?」
という声も出てきそうなので少し説明をすると、
①官庁エコノミスト
まさしく経済分析を担当する霞ヶ関の職員の皆さんのことです。
かつては経済政策に一石を投じるような大物のエコノミストの方が何人もいらっしゃいました。
テレビ・ラジオ・新聞などの第一線にも登場され論陣を張っていらっしゃいました。
彼らの意見や考え方は「時の政府の経済政策をリードし、バックアップする」ものでした。
彼らの経済分析の特長は、
●長期的視点で日本経済の舵取りをするベースになっていた
●膨大な政府統計を活用していた
●全国津々浦々の情報を総合化していた
●「経済政策理論」を背景によく勉強していた
●マスコミに迎合的ではなかった
●各省庁横断的なチェックをしていた(逆に、各省庁もかなり意識していた)
等々があげられます。
そういうところに民間のエコノミストが「隙間をつく」ように論陣を張っていたものでした。
②大蔵省は『景気がいい』と言いたがらない
「景気がいい」=「税収が増える」
となると、国会議員の皆さんが「あれに予算を使え」「おらが町に〇〇を」的に予算の配分要求が強くなり、長期的な国家運営に支障をきたすからだそうです。
それなりに伝わってくるものがあるはずです。
「あの先生は国のお金をとってくる」「国とのパイプが太い」「国に顔が利く」
などと選挙民の皆さんから称賛されたものです。
ちなみに、最近のマスコミによく登場される「エコノミスト」と称される方々の多くは、
●証券(マーケット)系の方
●「生命保険」系の方
●大学教授という肩書の方
が目立ちます。
こういう方の中には、
●タレントもどきの感覚の方
●自分の私生活を売り物にする方
●自分の著作を売りたい方
も紛れ込むようになってしまいました。
結果、議論が極端、政治批判も得意、近視眼的な方もかつてに比べると多いような気がします。
「市民目線」かと言うとそうでもないような。。。。
●「日銀券を増発」すればいい
●日銀が引き受ける限りは「国債増発」はかまわない
に始まり
●目先の「消費」中心
の議論が好きな方も出現しています。
そういう理屈が通るのなら日本経済はいつだって順調なはずです。
そういえば「日本銀行金融研究所」「日経センター」と言うネームも地盤沈下してしまいました。
「経済企画庁経済研究所」という国の組織も今は「内閣府経済社会研究所」と言う組織になっているようです。
経済を語るにはもう少し「硬派」のエコノミストも必要なのです。